12回、ロープ際でゾラニ・テテ(左)にパンチをかわされる帝里木下=神戸ポートピアホテルで(横田信哉撮影)
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◇IBF世界スーパーフライ級王座決定戦
IBF世界スーパーフライ級王座決定戦は、同級6位の帝里木下(28)=千里馬神戸=が同級1位ゾラニ・テテ(26)=南アフリカ=に0−3の判定で敗れた。同王座は昨年12月に亀田大毅が負けても王座を保持したことで騒動に発展し、後に返上。約8カ月も中ぶらりんとなっていた。
世界は近いようで遠かった。ジャッジが3者とも8ポイント差以上の大差の判定負け。21戦目の初黒星となった帝里は、控室に戻ると悔し涙を流した。
「終わった瞬間、自分が情けなかった。昨日も眠れなくてふとんの中で震えてた。リング向かうときも心臓の音だけが聞こえて。リングに上がった瞬間、緊張が消えたけれど、何もできなかった」
16KO中12が1回KO勝ちのテテの強打を、持ち前の巧みな防御で封じた。しかし、終始前に出たのはテテ。勝利をものにするには決定打がなさすぎた。
元世界王者の徳山昌守に憧れて始めたボクシング。普段は前日計量の会場となった神戸ポートタワーホテルの社員。レストランのフロアマネジャーとして、午前6時から午後3時まで働く。一回り年上の摩由子夫人は第2子を身ごもっていて、8月に出産予定だ。
「ボクシングの神様は、ボクに夢を見させたかっただけなのか? 夢をかなえるためにここまで導いてくれたのか? それが分かる日」と言ってリングに上がったが、夢はかなわなかった。
しかし「応援してくれる人がいる限り戦う。世界の高さを味わえただけでも幸せ」と、現役続行宣言。あきらめない限り、ボクシングの神様も見捨てない。 (竹下陽二)
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