半導体世界最大手の米インテルは2014年7月15日、2014年4~6月期の決算を発表した。売上高は前年同期比7.9%増の138億3100万ドル(約1兆3960億円)、純利益は前年同期比39.8%増の27億9600万ドル(約2820億円)と大幅な増収増益となった。
同社はかつてパソコン向けのMPU市場で独占的な地位を占め、IT業界のリーダー的存在であった。だが、最近はパソコンからスマホへのシフトに乗り遅れ、市場での影響力を失いつつある。
同社のようなオールドIT企業は、スマホの分野でも引き続き高いシェアを維持する道を選択するのか、クラウドやエンタープライズ向けのマーケットに特化するのか、選択を迫られている。
パソコン向け製品の売上高は、前年同期比で6%増の87億ドル、サーバーなどクラウド向けは19%増の35億ドルと好調な伸びを見せる一方、スマホ向けは83%もの大幅減となった。
スマホ向けの事業は、このところ前年割れが続いており、そろそろ事業の継続が難しくなりつつある。スマホ・シフトに伴いクラウドの需要はこれからも大幅な伸びが期待できることから、同社はこの分野に特化した方が得策だろう。
同社が今後の成長分野として注力しているのは「インターネット・オブ・シングス(IoT)」である。これはウェアラブル端末やスマートメーターなど、ネットに接続することを前提にした機器類である。売上高は前年同月比24%増と好調だ。絶対額はまだ5億4000万ドルと少ないが、あらゆる工業製品が対象となる可能性があり、有望な市場といえる。
今回の決算によって、今後、同社が進むべき道は、ほぼ見えてきたといってよい。スマホなど新世代コンシューマ市場からは撤退し、同社が得意するとコーポレートや工業分野に特化すれば、今後も高い成長を期待できるはずである。インテルは、米国の重厚長大産業を代表する企業GE(ゼネラル・エレクトリック)のような存在になりつつある。
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