◇マツダオールスターゲーム<第1戦> 全セ7−0全パ
浮かない表情でマウンドを降りる。スコアボードには3つのゼロを並べた。結果は申し分ない。それでも、全セの先発を託された前田は首をひねった。「0点に抑えられて良かったんですけど、最後はバテてしまいました」。完全投球を逃した悔しさをにじませた。
飛ばした。「投手としては怖いけど、楽しみな舞台。いろいろな球種を投げるシーズン中とは違って力勝負をしたい」。パの猛者たちを相手にしても最速149キロの直球を軸に押した。
初回から打者6人をピシャリ。陽、長谷川からは空振り三振を奪った。3回1死まで1人の走者も許さなかった12年の第2戦がよみがえる。「2イニングまでパーフェクトならもう1イニング」。全セの指揮を執る原監督にも背中を押され、2年前のリベンジを狙いにいった。
赤い軍団がジャックする今年の球宴。「安心感があった」。しかし、マエケンの野望は思わぬ形で破れた。
3回先頭の藤田の打球が中前にポトリと落ちる。「丸が捕ってくれなかったので(完全は)ダメでした」。天を仰ぎ、苦笑いで同僚に責任を押しつけた。
それでも、その後の満塁のピンチで糸井を146キロの直球で打ち取り、無失点で敢闘賞を手にした。19日は早穂夫人の誕生日。「良い贈り物になります」。今オフにもポスティング制度でメジャー移籍する可能性がある日本球界のエースは、その力をしっかりと証明した。 (井上学)
この記事を印刷する