戦地で、米軍女性兵士を待ち受けているのは敵からの攻撃だけではない。同僚兵士・上官からの性的暴行という別の闘いがある。20日、サンダンス映画祭で初公開されたドキュメンタリー映画「The Invisible War」では、軍内での組織がらみの性的暴行の実態が被害者を通して明らかになっている。また、最近国防総省もその蔓延した性的暴力実態を認める発表をしている。
一般社会でレイプ被害に合えば警察に届け出る。しかし、連帯をもって仕事に当たることが優先される職場で、被害提出先が上司であり、かつその上司がレイプ加害者であればどうだろう。この職場とは特殊な隔離された社会「米軍」であり、レイプ事件は兵舎で日常的に行われている。
カービー・デイック監督の「The Invisible War」は、数人のレイプ被害にあった若い女性兵士に焦点をあてている。勇敢にも被害を公にし、軍と真っ向から闘い、生活を立て直そうとする姿が描かれている。また同映画は、レイプの実態だけでなく組織的に犯罪をもみ消そうとする軍の体質や司法組織を明らかにし、さらにこの暴力的風土を変えるよう抜本的な解決を呼びかけている。
米紙ブルームバーグなどによると、国防総省は昨年3191件の性的暴力被害報告を受けたと17日発表した。全体数は一昨年より若干多く、過去5年間で19%の増加を見ている。しかし、パネッタ国防長官は、実際には推定で19000件はあるだろうと言う。
この19000件という数字は、2010年の現役兵士対象の調査に基づいている。ここでいう性的暴力は、国防省「軍事司法統一法典」で定めているレイプから不正な性的接触に至るまでを含んでいる。
被害件数が推定より少ないのは、多くが報告されないまま葬られているからだ。80%以上の事件が報告されないでいるという。軍では、事件をどう取り扱うかの決定は、部隊上官に任されている。33%の女性兵士がレイプを報告しないのは、報告提出先の上官がレイプ加害者の友達だから。また25%が報告しないのは、上司がレイプ加害者だからという。
入隊する時、兵士たちは何か起これば軍が後ろ盾になってくれると思うだろうが、そうではないのだ。
米軍にとっても、性的暴行事件は厄介な問題である。犯罪であるだけでなく、コストがかかりすぎる問題だ。退役軍人局は、これらの性的暴行被害者に2010年だけで厚生関連で8億7200万ドルも費やしている。また、兵士が軍相手に訴えれば、その訴訟費用は1件につき約4万ドルかかる。
昨年11月ジャッキー・スピアー下院議員(民主党)は、議会に新しい米軍関連法案を提出した。同法案では、起訴に至っていない、また報告されていない性的暴力に焦点を当て改善策を提示している。この法案可決に向けて、「The Invisible War」ウエブサイトでは、被害女性兵士が国家軍事委員会議長などへの嘆願を呼びかけている。
*サンダンス映画祭は、インディペンデント映画を対象に毎年1月ユタ州で開催されている。以下のビデオは「The Invisible War」の予告編。
米軍兵士のリクルートでは、高校中退とか「ワル」の人々を無理に引っ張って来るような事を、ルポライターの堤未果さんが書いていました。そうした人々は軍隊内部でも退役後も、PTSDなどでよく自殺するそうで、そんな記事を追っていたのですが、本日ハフポストサイトで、共和党大統領候補のサントラム氏が、女性兵士に対するひどい偏見をもった言葉を浴びせた事が報じられていました。依然として米国保守派の間では、男優位なのですね。読ませて頂いて憤然としました。
hatehei666さん
男優位かどうかは別としても、レイプカルチャーは根強いと思います。つまり暴力を正当化するところがあります。真の男は、、、といったところでしょうか。そのような人々には理論は通じず、オバマ大統領はへこたれと映るようですが。
久しぶりにサイトを拝見しました。
一番最初に表示されたのでクリックしてみました。
さて、ここで偏見かも知れませんが奇異に感じたことを少し。
まず、軍隊のしかも男が一杯のところに行って何も無いことが普通だろうかと思ったこと。
偏見に満ちた目で感じることは、軍の明日死ぬかも知れない連中、そいつらを顎で使う上司、さらにそのおこぼれを目当ての取り巻き連中のところに女性が入ってくる。まるで飢えたハイエナの群れにウサギを放り込むような感じがしました。
平時で戦争はなくとも軍は上司の命令は絶対、自分が得た地位名誉利益は手放さないような組織ですよね。いくら男女平等とは言っても生理的に肉体的に平等ではないですよね。
こいつらにどれだけ理性が働きますか?言い過ぎかもしれませんが。
また、これも偏見かもしれませんが、アメリカ社会って本当に平等なんですか?
権利は勝ち取るもの、利益はもぎ取るものなどそういうイメージが付きまといます。
レディーファーストは女子供を騙す為のポーズではないのかなと気になります?
特にアメリカの成り立ちと拡大の歴史を知りえた資料で見ると、余計にそんな気がします。立ち振る舞いなどは良さそうに見えるのだが、いざとなると力に訴えてでも自分の欲望や利益を得る。そういう感じに受けます。まあ、全部とは思いませんし、アメリカで暮らしているわけでもないので普通の人達がそうだとは言えませんが、どこかそういう下地を持っているんではと思います。映画やテレビの見すぎかもしれませんけどね。
アメリカの女性は強いもの大きいものに憧れを持つとも聞きます。真偽は判りませんが
それを真に受ける男は力が全てとも思うでしょうね。
masaさん
アメリカ社会は平等だと、ウーマンリブ発祥の地だから女性の地位は高いと、私も思っていました。しかし、よく眺めてみると、特に保守の町ではそうではありません。やはり男性が優位です。レデイーファーストも女性に敬意を払ってというより、女は弱い者だから守らなきゃという考えのようです。これって平等じゃないです。偏見かもしれませんが、そう思います。
また、「勝者独り占め」の考えは根強いです。戦って勝つのが、真のアメリカ人ということでしょうね。