◇ NHK全国退職者有志 ◇
「NHK籾井会長に辞任勧告または罷免」を求める申し入れ
安倍内閣の一連の経営委員選任とその後の言動、籾井会長の就任記者会見およびその後の言動に対し危機感をもつNHK全国退職者有志が、18日午後、「NHK籾井会長に辞任勧告または罷免」を求める申し入れを、NHK経営委員会に提出する。
申し入れの内容は「NHK籾井会長に辞任を勧告するか、または罷免されるよう求めます」の文書にまとめられている。
文書からは、日本の民主主義が形骸化していく事への危機感、公共放送NHKに対する危機感が伝わってくる。
18日の申し入れ後も、呼びかけ人172名(7月17日現在)を中心に、全国のNHKOB・OGに、申し入れへの賛同をよびかけ、再度、賛同者名簿を添えて経営委員会に申し入れ、会長罷免の決断を求める予定にしている。
NHK全国退職者有志には、かつて午後9時のNHKニュースキャスター、NHKニュースや「ラジオ深夜便」その他の番組で活躍したアナウンサー、「NHKスペシャル」その他さまざまな番組に携わったプロデューサー・ディレクター、記者などのほか、番組制作を現場で支えたカメラマン、照明・音声などの技術担当者、編成・営業・管理など事務職場など、あらゆる職種のOB・OGが「呼びかけ人」として加わっている。
運動は、危機感を持ったNHK退職者が、「何かできないだろうか」と首都圏のOB数人で相談して始まった。
代表も事務局もない。運動が広がるなか、連絡や種々の実務を行うために「よびかけ世話人」を設けて作業を進めている。
「NHKはかつて例を見ない危機的な状況にある。声をあげようとする退職者の動きに加わってほしい」──。
可能な限り多くのNHK退職者に賛同を広げたいとの思いから、申し入れ文に目を通した人々に「知り合いのОB、ОGの方にこの申し入れ内容を伝えていただき、賛同を得られた方があれば、上記連絡先までお名前と在職中の肩書き等を連絡してほしい」と訴えている。
======================================
2014年7月 日
NHK経営委員会 御中
経営委員各位
NHK籾井会長に辞任を勧告するか、または罷免されるよう求めます
NHK全国退職者有志
経営委員各位には、日頃、NHKの使命達成のために尽力されていることに敬意を表します。
私たちは、かつてNHKで働いた退職者です。1月の籾井勝人会長就任以来続いている事態を憂慮し、その解決のために、今こそ経営委員会が英断をもって会長に辞任を勧告すること、その勧告に会長が応じない場合は、放送法第55条により罷免の決断をされることを強く求めるものです。
その理由は次の通りです。
第一、籾井氏が会長にとどまることは、政府・政治権力から独立した放送機関であるべきNHKにとって、重大な脅威となっています。
「政治権力からの自主・自立」という在り方は、NHKの存在理由そのものであり、NHKが視聴者、国民の信頼を得るために守るべき最重要の放送倫理です。
しかし、繰り返し批判されているように、籾井会長は就任記者会見で、国際放送では「政府が右というのを左とは言えない」、「民主主義に対するイメージで放送していけば、政府と逆になることはあり得ないのではないか」秘密保護法については「政府が必要だとの説明だからようすを見るしかない」などと述べました。
また、日本軍「慰安婦」の補償問題に関し、韓国を非難し、「日韓条約で解決済み。なぜ蒸し返すのか」とも発言しました。これは日本政府の主張であり、籾井発言はこの政府の主張をNHKの主張とする、というに等しいものでした。
重大なのは、こうした姿勢が就任会見の一時的なものではなく、その後も変更されていないことです。
NHKの基本性格の理解を欠き、政府支持の姿勢で公的に発言した人物が、NHKのトップに座り続けているという異常な事態は一刻も早く解消すべきです。
2013年11月、経営委員会は、次期会長の資格要件を定めました。
その中に、「政治的に中立であること」「NHKの公共放送としての使命を十分に理解している」という項目があります。
籾井会長の姿勢はこの要件にあきらかに違反しているのではないでしょうか。
第二、就任会見で示された見識、感性からみて、籾井会長がNHKのトップの任に堪える人物とはとうてい考えられません。
会長は日本軍「慰安婦」に関して、日本だけが非難されるのはおかしい、という趣旨で「戦争している国にはどこにもあった」と述べました。
しかし、これは、近年の研究や裁判で明らかになった日本軍「慰安婦」の歴史的事実に反します。
政府の公式見解である河野談話も、長期、かつ広範な地域に、日本軍が直接、間接に関与して慰安所を設置し、「慰安婦」の移送、管理を行ったと言明しました。
こうした大がかりな制度を、戦争当事国がすべて行っていた、とする籾井発言は、驚くべき歴史の偽造です。
また河野談話は、「「慰安婦」の募集が、強圧によって本人の意思に反して行われた事例が数多くあり、慰安所での生活も強制的な状況の下での痛ましいものであった」と述べました。
籾井発言には、こうした悲惨な環境に置かれた女性たちへの人間的な想像力が感じられず、先の戦争で日本がアジア諸国に与えた深刻な被害についての反省も表明されませんでした。
NHKは、アジア太平洋地域の放送機関の連合組織ABU(アジア太平洋放送連合)の有力なメンバーです。
加盟各国は、多くは日本の侵略戦争で深刻な被害を受けた国々です。
籾井氏の発言は、アジア諸国にとって、また、日本の戦争責任を考える多くの市民にとって、到底受け入れがたいものです。
第三、いまNHKで働く人たちが、会長の存在によって特別の困難に直面しています。
会長発言を理由に、国内外で取材に困難が生じているという現場の声が聞こえます。
受信料支払い凍結や留保も広がっています。
こうした厳しい批判が集中する中で仕事をしなければならない現場の人たちの状況には、胸が痛みます。
ご承知のように、今年4月22日の経営委員会で、退任する理事のひとりは、あいさつの中で、次のように述べました。
「職場には少しずつ不安感、不信感あるいはひそひそ話といった負の雰囲気が漂い始めています。
現場は公共放送を担うことへの誇りと責任感を何とか維持しようと懸命の努力を続けていますが、限界に近づきつつあります。
一刻も早い事態の収拾が必要です」
さらにこの理事は、「これまで経営委員会は、執行部に事態収拾を求めてきたが、経営委員会こそが責任を持って事態の収拾に当ってほしい」と訴えました。
職場の声を代弁するこのような痛切な声にぜひ応えていただきたいのです。
現会長が辞任しないかぎり、NHKに対する批判は、今後も止むことがないでしょう。
会長が職に留まっていることへの抗議は、署名運動や、受信料支払い凍結、という形で広がり、私たち退職者の中にも、やむにやまれぬ気持から支払い凍結に踏み切る人びとが出始めました。
署名も本年6月に5万筆を超えました。
私たちは、単に後輩が困っている、とか、かつて働いたNHKが心配だから、というレベルでこの申し入れをしているのではありません。
NHKが政府から独立した自立的な放送機関として、日本の民主主義の発達に資する存在であることをあらためて求め、現在の危機を回避することを要求するのが趣旨です。
経営委員会は、放送法成立以後64年の歴史と、NHKの今後を見据えて、現在の時期がNHKの歴史上の汚点とならないよう、大局的、歴史的見地から英断を下されるよう求めます。
その上で、会長選任には、言論、ジャーナリズム、メディア研究、労働・農業団体、市民団体など各界の意見や提案を幅広く聴き、経営委員会独自の活動で、会長にふさわしい人物を選任される方向へ大きく一歩を踏み出されることを心から願うものです。
呼びかけ人 172名(カッコ内は在職時の職種・職場、役職など)
阿部勝哉(技術) 阿部和暢(番組制作局プロデューサー・ハイビジョン部長)天野晶吉(番組制作局ディレクター) 荒地新冶(技術・大阪局) 安斉佳成(管理・仙台局) 池田恵理子(家庭・教養番組ディレクター) 石井長世(報道局カメラマン)石田武久(技術) 磯浦康二(アナウンサー) 伊東周平(技術・盛岡放送局長)伊藤康雄(制作技術) 井上茂(社会部記者) 今井潤(報道局・映像編集)岩倉亮司(管理・仙台) 岩田孝行(営業・名古屋局) 氏原淳一(技術研究所)宇宿利典(教育番組ディレクター・研修センター部長) 浦野敏(技術・和歌山局)及川瑞夫(放送・仙台局) 大岡慶三(ディレクター・大阪局)大木圭之介(社会部記者・放送文化研究所所長) 大西誠(教育番組プロデューサー) 大原雄(倉持光雄)(社会部記者) 大治浩之輔(社会部記者・盛岡放送局長)大場晴男(アナウンサー) 大脇智笑子(ディレクター・名古屋局) 岡崎兵衛(制作技術) 小川有子(技術研究所) 沖野皓一(アナウンサー) 小沢良則(社会部記者) 柿谷功(技術) 柏木茂(制作技術) 梶原四郎(アナウンサー)勝部領樹(ニュースキャスター) 門目省吾(番組制作局ディレクター)海南友子(報道番組ディレクター) 川平朝清(経営主幹) 亀島康良(技術・札幌局)川上三佶(番組制作局ディレクター) 川口勲(技術・音声) 川口恵敏(技術)川崎泰資(政治部記者・ボン支局長) 川田照士(ディレクター・大阪局)川田雅俊(高知放送局記者) 河村紀義(営業・京都局) 上林利三(営業・大津局) 北村信二(営業・京都局) 木村晃也(報道局・カメラマン)木村紀征 (報道番組プロデューサー・編成局次長) 木村久章(仙台・技術)清川輝基(社会報道番組ディレクター・長野放送局長) 草柳隆三(アナウンサー)久保康夫(報道局整理部・チーフプロデュ−サ−)栗田博行(番組制作局プロデューサー・文研放送研究部長) 栗三直隆(営業・富山局)小池晴二(美術デザイナー) 小池宗雄(技術) 越澤進治郎(技術・大阪局)小助川静男(技術) 小滝一志(教育番組ディレクター) 後藤和晃(名古屋局考査室)後藤正一郎(東京・営業所長) 小中陽太郎(テレビ文芸部ディレクター)小林弘文(事業局・ディレクター) 小山帥人 (報道カメラマン) 斎藤一夫(制作技術)齋藤季夫 (アナウンサー) 斎藤忠信(技術・青森局) 酒井廣(アナウンサー)酒井 伸(予算部長・経理局長) 堺沢一生(報道カメラマン・名古屋局)
坂本憲彦(技術管理・保守運用) 桜井均(NHKスペシャル・プロデューサー)佐藤鸞峯(技術) 佐藤悠(社会部記者・プラネット社長)篠原一郎(農林水産番組ディレクター・広島局) 下重暁子(アナウンサー・作家)朱通卓(社会部記者・山口放送局長) 関智(技術・仙台局) 高岡幸雄(記者)高野春廣(アナウンサー) 田川賢策(九州・カメラマン)多菊和郎(報道番組プロデューサー・国際放送局国際企画部長)竹内日出男(ドラマ番組ディレクター・プロデューサー) 武智祐治(事務・管理)竹中美根子(営業・大阪局) 田中克己(教育番組ディレクター) 田村安正(営業・東京)為ヶ谷秀一(技術) 千葉隆久(社会部記者・北海道)津田正夫 (名古屋放送センター・プロデューサー) 所悠(編成)戸崎賢二(教育・教養番組ディレクター) 戸田桂太(撮影部カメラマン)中尾雅彦(営業・大阪) 中尾庸蔵(社会部記者・山形放送局長)中嶋正夫(東京研修所・デイレクター) 中田賢吾(教育番組ディレクター)中田整一(プロデューサー・スペシャル番組部長) 中村和夫(営業・仙台局)中村義雄(番制局ディレクター)中山亮一(衛星放送・ディレクター)永田浩三(教養番組部プロデューサー・衛星放送局統括担当部長)長沼士朗(報道番組ディレクター) 奈良原志磨子(報道局ディレクター)西昭道(報道局・整理部) 西田容三(管理・仙台局)西橋正泰(アナウンサー) 二宮文彦(放送文化研究所所長) 根本仁(ドラマ部ディレクター) 野口篤太郎(カメラマン) 野田善行(技術・名古屋局) 服部邦彦(放送管理・著作権)林忠秀(制作技術) 日置弘能(経済部記者) 肥田皖(ディレクター・大阪局)平岡幸雄(技術研究所) 平田豊果(ディレクター・大阪局) 平野鶴雄(技術・津局)平林光明(報道・スポーツ記者) 深堀雄一(番組制作局ディレクター)府川朝次(番組制作局ディレクター) 福井いく代(編成経理・大阪局)福井清春(技術・大阪局) 福沢平六(青森放送局副局長) 福田肇(社会部記者)藤井巌(松江放送局長) 藤井明治(四国・技術) 藤井幸雄(営業・大阪局) 藤井文子(経理・大阪局) 捧亮平(技術) 星子鐵郎(営業・大阪局)本多勝美(技術・仙台局) 前島宗夫(営業・名古屋局) 真栄城伸(放送・沖縄局)政木和夫(経済部記者) 増田康雄(音響効果) 桝本隆(旧農事部・熊本局)松崎武雄(広報・名古屋局) 松田洋司(報道記者・北海道) 松原十朗(技術・送出)水谷芳孝(技術・名古屋局) 皆川学(音楽芸能プロデューサー) 毛利和雄(解説委員)望月亮(技術計画) 森田敏夫(技術) 安田昭雄(技術・名古屋局) 柳原忠行(記者・佐賀局) 山口弘三(アナウンサー・福井放送局長)山越敏正(報道ディレクター・松山) 山下政人(制作技術)山路家子(番組制作局ディレクター) 山田匡一(アナウンサー)山田誠浩 (アナウンサー) 山根基世(アナウンサー) 山村恵一(技術・大阪局)山本明夫(放送文化研究所研究員)山本修平(番組制作局プロデューサー)遊座孝志(技術・札幌局) 横川清司( 放送技術局カメラマン) 横山隆一(制作技術) 吉川弘一(送出技術・札幌局) 吉武敏文(技術) 吉田晃(技術・京都局)吉田勇夫(報道局・映像編集) 吉田茂彦(アナウンサー) 吉田昌生(教育番組ディレクター) 吉村保(放送・仙台局) 吉村文夫(管理・仙台局)渡辺晋太郎(研修センター) 渡部久生(技術局・送出) 渡邉 正善(技術管理)
======================================
NHK退職者有志による会長辞任・罷免要求申し入れ賛同の呼びかけ
──お知り合いのОB、ОGの方にこの申し入れ内容を伝えてください──
この度、私たちはNHK籾井勝人会長の辞任、罷免を求める別紙のような申し入れを、NHK退職者有志で行うことにしました。
その意図、理由は、上記の申し入れ文で明らかにしています。ご高覧ください。
可能な限り多くの退職者の方々の賛同リストを添えて、この夏、NHK経営委員会と、各経営委員宛てに提出したいと考えています。
ご高覧のうえ、ぜひとも賛同者に加わっていただきたく、心よりお願い申し上げます。
【ご返事について】
下記の宛先にお送りください。メールでも郵送・FAXでも結構です。
今井潤 メールアドレス tiger-imai@nifty.com
住所 〒254−0061 平塚市御殿1−21−33
FAX 0463−32−0215
【記入内容について】
お名前のあとに、在職中の担当業務がわかるように、職種、所属職場、長く勤務した
局名、主な肩書き(職位)などのうちどれかひとつ代表的なものを選んでお書きくだ
さい。
例:(アナウンサー)(制作技術・照明)(営業)(○○局局長)等々……。「呼びかけ人」リストを参考にしてください。
要は経営委員にイメージが伝わるように記載していただければけっこうです。
【賛同者の拡大について】
この申し入れの効果は、どれだけ賛同者が多いかにかかっています。
お知り合いのОB、ОGの方にこの申し入れ内容を伝えていただき、賛同を得られた方があれば、上記連絡先までお名前と在職中の肩書き等をご連絡ください。
【カンパのお願い】
賛同者を広く募る運動を展開するために通信費・資料費・印刷費がかかります。
カンパのご協力がいただければ幸いです。よろしくお願いします。
振込先は、みずほ銀行 新所沢支店294 普通預金 口座番号:4575165
名義:「NHK全国退職者有志」
NHKはかつて例を見ない危機的な状況にあります。
声をあげようとする退職者の動きに加わっていただくよう重ねてお願い申し上げます。
2014年7月
NHK全国退職者有志 よびかけ世話人
伊東周平 今井潤 門目省吾 小滝一志
よろしければ、下のマークをクリックして!
よろしければ、もう一回!
「NHK籾井会長に辞任勧告または罷免」を求める申し入れ
安倍内閣の一連の経営委員選任とその後の言動、籾井会長の就任記者会見およびその後の言動に対し危機感をもつNHK全国退職者有志が、18日午後、「NHK籾井会長に辞任勧告または罷免」を求める申し入れを、NHK経営委員会に提出する。
申し入れの内容は「NHK籾井会長に辞任を勧告するか、または罷免されるよう求めます」の文書にまとめられている。
文書からは、日本の民主主義が形骸化していく事への危機感、公共放送NHKに対する危機感が伝わってくる。
18日の申し入れ後も、呼びかけ人172名(7月17日現在)を中心に、全国のNHKOB・OGに、申し入れへの賛同をよびかけ、再度、賛同者名簿を添えて経営委員会に申し入れ、会長罷免の決断を求める予定にしている。
NHK全国退職者有志には、かつて午後9時のNHKニュースキャスター、NHKニュースや「ラジオ深夜便」その他の番組で活躍したアナウンサー、「NHKスペシャル」その他さまざまな番組に携わったプロデューサー・ディレクター、記者などのほか、番組制作を現場で支えたカメラマン、照明・音声などの技術担当者、編成・営業・管理など事務職場など、あらゆる職種のOB・OGが「呼びかけ人」として加わっている。
運動は、危機感を持ったNHK退職者が、「何かできないだろうか」と首都圏のOB数人で相談して始まった。
代表も事務局もない。運動が広がるなか、連絡や種々の実務を行うために「よびかけ世話人」を設けて作業を進めている。
「NHKはかつて例を見ない危機的な状況にある。声をあげようとする退職者の動きに加わってほしい」──。
可能な限り多くのNHK退職者に賛同を広げたいとの思いから、申し入れ文に目を通した人々に「知り合いのОB、ОGの方にこの申し入れ内容を伝えていただき、賛同を得られた方があれば、上記連絡先までお名前と在職中の肩書き等を連絡してほしい」と訴えている。
======================================
2014年7月 日
NHK経営委員会 御中
経営委員各位
NHK籾井会長に辞任を勧告するか、または罷免されるよう求めます
NHK全国退職者有志
経営委員各位には、日頃、NHKの使命達成のために尽力されていることに敬意を表します。
私たちは、かつてNHKで働いた退職者です。1月の籾井勝人会長就任以来続いている事態を憂慮し、その解決のために、今こそ経営委員会が英断をもって会長に辞任を勧告すること、その勧告に会長が応じない場合は、放送法第55条により罷免の決断をされることを強く求めるものです。
その理由は次の通りです。
第一、籾井氏が会長にとどまることは、政府・政治権力から独立した放送機関であるべきNHKにとって、重大な脅威となっています。
「政治権力からの自主・自立」という在り方は、NHKの存在理由そのものであり、NHKが視聴者、国民の信頼を得るために守るべき最重要の放送倫理です。
しかし、繰り返し批判されているように、籾井会長は就任記者会見で、国際放送では「政府が右というのを左とは言えない」、「民主主義に対するイメージで放送していけば、政府と逆になることはあり得ないのではないか」秘密保護法については「政府が必要だとの説明だからようすを見るしかない」などと述べました。
また、日本軍「慰安婦」の補償問題に関し、韓国を非難し、「日韓条約で解決済み。なぜ蒸し返すのか」とも発言しました。これは日本政府の主張であり、籾井発言はこの政府の主張をNHKの主張とする、というに等しいものでした。
重大なのは、こうした姿勢が就任会見の一時的なものではなく、その後も変更されていないことです。
NHKの基本性格の理解を欠き、政府支持の姿勢で公的に発言した人物が、NHKのトップに座り続けているという異常な事態は一刻も早く解消すべきです。
2013年11月、経営委員会は、次期会長の資格要件を定めました。
その中に、「政治的に中立であること」「NHKの公共放送としての使命を十分に理解している」という項目があります。
籾井会長の姿勢はこの要件にあきらかに違反しているのではないでしょうか。
第二、就任会見で示された見識、感性からみて、籾井会長がNHKのトップの任に堪える人物とはとうてい考えられません。
会長は日本軍「慰安婦」に関して、日本だけが非難されるのはおかしい、という趣旨で「戦争している国にはどこにもあった」と述べました。
しかし、これは、近年の研究や裁判で明らかになった日本軍「慰安婦」の歴史的事実に反します。
政府の公式見解である河野談話も、長期、かつ広範な地域に、日本軍が直接、間接に関与して慰安所を設置し、「慰安婦」の移送、管理を行ったと言明しました。
こうした大がかりな制度を、戦争当事国がすべて行っていた、とする籾井発言は、驚くべき歴史の偽造です。
また河野談話は、「「慰安婦」の募集が、強圧によって本人の意思に反して行われた事例が数多くあり、慰安所での生活も強制的な状況の下での痛ましいものであった」と述べました。
籾井発言には、こうした悲惨な環境に置かれた女性たちへの人間的な想像力が感じられず、先の戦争で日本がアジア諸国に与えた深刻な被害についての反省も表明されませんでした。
NHKは、アジア太平洋地域の放送機関の連合組織ABU(アジア太平洋放送連合)の有力なメンバーです。
加盟各国は、多くは日本の侵略戦争で深刻な被害を受けた国々です。
籾井氏の発言は、アジア諸国にとって、また、日本の戦争責任を考える多くの市民にとって、到底受け入れがたいものです。
第三、いまNHKで働く人たちが、会長の存在によって特別の困難に直面しています。
会長発言を理由に、国内外で取材に困難が生じているという現場の声が聞こえます。
受信料支払い凍結や留保も広がっています。
こうした厳しい批判が集中する中で仕事をしなければならない現場の人たちの状況には、胸が痛みます。
ご承知のように、今年4月22日の経営委員会で、退任する理事のひとりは、あいさつの中で、次のように述べました。
「職場には少しずつ不安感、不信感あるいはひそひそ話といった負の雰囲気が漂い始めています。
現場は公共放送を担うことへの誇りと責任感を何とか維持しようと懸命の努力を続けていますが、限界に近づきつつあります。
一刻も早い事態の収拾が必要です」
さらにこの理事は、「これまで経営委員会は、執行部に事態収拾を求めてきたが、経営委員会こそが責任を持って事態の収拾に当ってほしい」と訴えました。
職場の声を代弁するこのような痛切な声にぜひ応えていただきたいのです。
現会長が辞任しないかぎり、NHKに対する批判は、今後も止むことがないでしょう。
会長が職に留まっていることへの抗議は、署名運動や、受信料支払い凍結、という形で広がり、私たち退職者の中にも、やむにやまれぬ気持から支払い凍結に踏み切る人びとが出始めました。
署名も本年6月に5万筆を超えました。
私たちは、単に後輩が困っている、とか、かつて働いたNHKが心配だから、というレベルでこの申し入れをしているのではありません。
NHKが政府から独立した自立的な放送機関として、日本の民主主義の発達に資する存在であることをあらためて求め、現在の危機を回避することを要求するのが趣旨です。
経営委員会は、放送法成立以後64年の歴史と、NHKの今後を見据えて、現在の時期がNHKの歴史上の汚点とならないよう、大局的、歴史的見地から英断を下されるよう求めます。
その上で、会長選任には、言論、ジャーナリズム、メディア研究、労働・農業団体、市民団体など各界の意見や提案を幅広く聴き、経営委員会独自の活動で、会長にふさわしい人物を選任される方向へ大きく一歩を踏み出されることを心から願うものです。
呼びかけ人 172名(カッコ内は在職時の職種・職場、役職など)
阿部勝哉(技術) 阿部和暢(番組制作局プロデューサー・ハイビジョン部長)天野晶吉(番組制作局ディレクター) 荒地新冶(技術・大阪局) 安斉佳成(管理・仙台局) 池田恵理子(家庭・教養番組ディレクター) 石井長世(報道局カメラマン)石田武久(技術) 磯浦康二(アナウンサー) 伊東周平(技術・盛岡放送局長)伊藤康雄(制作技術) 井上茂(社会部記者) 今井潤(報道局・映像編集)岩倉亮司(管理・仙台) 岩田孝行(営業・名古屋局) 氏原淳一(技術研究所)宇宿利典(教育番組ディレクター・研修センター部長) 浦野敏(技術・和歌山局)及川瑞夫(放送・仙台局) 大岡慶三(ディレクター・大阪局)大木圭之介(社会部記者・放送文化研究所所長) 大西誠(教育番組プロデューサー) 大原雄(倉持光雄)(社会部記者) 大治浩之輔(社会部記者・盛岡放送局長)大場晴男(アナウンサー) 大脇智笑子(ディレクター・名古屋局) 岡崎兵衛(制作技術) 小川有子(技術研究所) 沖野皓一(アナウンサー) 小沢良則(社会部記者) 柿谷功(技術) 柏木茂(制作技術) 梶原四郎(アナウンサー)勝部領樹(ニュースキャスター) 門目省吾(番組制作局ディレクター)海南友子(報道番組ディレクター) 川平朝清(経営主幹) 亀島康良(技術・札幌局)川上三佶(番組制作局ディレクター) 川口勲(技術・音声) 川口恵敏(技術)川崎泰資(政治部記者・ボン支局長) 川田照士(ディレクター・大阪局)川田雅俊(高知放送局記者) 河村紀義(営業・京都局) 上林利三(営業・大津局) 北村信二(営業・京都局) 木村晃也(報道局・カメラマン)木村紀征 (報道番組プロデューサー・編成局次長) 木村久章(仙台・技術)清川輝基(社会報道番組ディレクター・長野放送局長) 草柳隆三(アナウンサー)久保康夫(報道局整理部・チーフプロデュ−サ−)栗田博行(番組制作局プロデューサー・文研放送研究部長) 栗三直隆(営業・富山局)小池晴二(美術デザイナー) 小池宗雄(技術) 越澤進治郎(技術・大阪局)小助川静男(技術) 小滝一志(教育番組ディレクター) 後藤和晃(名古屋局考査室)後藤正一郎(東京・営業所長) 小中陽太郎(テレビ文芸部ディレクター)小林弘文(事業局・ディレクター) 小山帥人 (報道カメラマン) 斎藤一夫(制作技術)齋藤季夫 (アナウンサー) 斎藤忠信(技術・青森局) 酒井廣(アナウンサー)酒井 伸(予算部長・経理局長) 堺沢一生(報道カメラマン・名古屋局)
坂本憲彦(技術管理・保守運用) 桜井均(NHKスペシャル・プロデューサー)佐藤鸞峯(技術) 佐藤悠(社会部記者・プラネット社長)篠原一郎(農林水産番組ディレクター・広島局) 下重暁子(アナウンサー・作家)朱通卓(社会部記者・山口放送局長) 関智(技術・仙台局) 高岡幸雄(記者)高野春廣(アナウンサー) 田川賢策(九州・カメラマン)多菊和郎(報道番組プロデューサー・国際放送局国際企画部長)竹内日出男(ドラマ番組ディレクター・プロデューサー) 武智祐治(事務・管理)竹中美根子(営業・大阪局) 田中克己(教育番組ディレクター) 田村安正(営業・東京)為ヶ谷秀一(技術) 千葉隆久(社会部記者・北海道)津田正夫 (名古屋放送センター・プロデューサー) 所悠(編成)戸崎賢二(教育・教養番組ディレクター) 戸田桂太(撮影部カメラマン)中尾雅彦(営業・大阪) 中尾庸蔵(社会部記者・山形放送局長)中嶋正夫(東京研修所・デイレクター) 中田賢吾(教育番組ディレクター)中田整一(プロデューサー・スペシャル番組部長) 中村和夫(営業・仙台局)中村義雄(番制局ディレクター)中山亮一(衛星放送・ディレクター)永田浩三(教養番組部プロデューサー・衛星放送局統括担当部長)長沼士朗(報道番組ディレクター) 奈良原志磨子(報道局ディレクター)西昭道(報道局・整理部) 西田容三(管理・仙台局)西橋正泰(アナウンサー) 二宮文彦(放送文化研究所所長) 根本仁(ドラマ部ディレクター) 野口篤太郎(カメラマン) 野田善行(技術・名古屋局) 服部邦彦(放送管理・著作権)林忠秀(制作技術) 日置弘能(経済部記者) 肥田皖(ディレクター・大阪局)平岡幸雄(技術研究所) 平田豊果(ディレクター・大阪局) 平野鶴雄(技術・津局)平林光明(報道・スポーツ記者) 深堀雄一(番組制作局ディレクター)府川朝次(番組制作局ディレクター) 福井いく代(編成経理・大阪局)福井清春(技術・大阪局) 福沢平六(青森放送局副局長) 福田肇(社会部記者)藤井巌(松江放送局長) 藤井明治(四国・技術) 藤井幸雄(営業・大阪局) 藤井文子(経理・大阪局) 捧亮平(技術) 星子鐵郎(営業・大阪局)本多勝美(技術・仙台局) 前島宗夫(営業・名古屋局) 真栄城伸(放送・沖縄局)政木和夫(経済部記者) 増田康雄(音響効果) 桝本隆(旧農事部・熊本局)松崎武雄(広報・名古屋局) 松田洋司(報道記者・北海道) 松原十朗(技術・送出)水谷芳孝(技術・名古屋局) 皆川学(音楽芸能プロデューサー) 毛利和雄(解説委員)望月亮(技術計画) 森田敏夫(技術) 安田昭雄(技術・名古屋局) 柳原忠行(記者・佐賀局) 山口弘三(アナウンサー・福井放送局長)山越敏正(報道ディレクター・松山) 山下政人(制作技術)山路家子(番組制作局ディレクター) 山田匡一(アナウンサー)山田誠浩 (アナウンサー) 山根基世(アナウンサー) 山村恵一(技術・大阪局)山本明夫(放送文化研究所研究員)山本修平(番組制作局プロデューサー)遊座孝志(技術・札幌局) 横川清司( 放送技術局カメラマン) 横山隆一(制作技術) 吉川弘一(送出技術・札幌局) 吉武敏文(技術) 吉田晃(技術・京都局)吉田勇夫(報道局・映像編集) 吉田茂彦(アナウンサー) 吉田昌生(教育番組ディレクター) 吉村保(放送・仙台局) 吉村文夫(管理・仙台局)渡辺晋太郎(研修センター) 渡部久生(技術局・送出) 渡邉 正善(技術管理)
======================================
NHK退職者有志による会長辞任・罷免要求申し入れ賛同の呼びかけ
──お知り合いのОB、ОGの方にこの申し入れ内容を伝えてください──
この度、私たちはNHK籾井勝人会長の辞任、罷免を求める別紙のような申し入れを、NHK退職者有志で行うことにしました。
その意図、理由は、上記の申し入れ文で明らかにしています。ご高覧ください。
可能な限り多くの退職者の方々の賛同リストを添えて、この夏、NHK経営委員会と、各経営委員宛てに提出したいと考えています。
ご高覧のうえ、ぜひとも賛同者に加わっていただきたく、心よりお願い申し上げます。
【ご返事について】
下記の宛先にお送りください。メールでも郵送・FAXでも結構です。
今井潤 メールアドレス tiger-imai@nifty.com
住所 〒254−0061 平塚市御殿1−21−33
FAX 0463−32−0215
【記入内容について】
お名前のあとに、在職中の担当業務がわかるように、職種、所属職場、長く勤務した
局名、主な肩書き(職位)などのうちどれかひとつ代表的なものを選んでお書きくだ
さい。
例:(アナウンサー)(制作技術・照明)(営業)(○○局局長)等々……。「呼びかけ人」リストを参考にしてください。
要は経営委員にイメージが伝わるように記載していただければけっこうです。
【賛同者の拡大について】
この申し入れの効果は、どれだけ賛同者が多いかにかかっています。
お知り合いのОB、ОGの方にこの申し入れ内容を伝えていただき、賛同を得られた方があれば、上記連絡先までお名前と在職中の肩書き等をご連絡ください。
【カンパのお願い】
賛同者を広く募る運動を展開するために通信費・資料費・印刷費がかかります。
カンパのご協力がいただければ幸いです。よろしくお願いします。
振込先は、みずほ銀行 新所沢支店294 普通預金 口座番号:4575165
名義:「NHK全国退職者有志」
NHKはかつて例を見ない危機的な状況にあります。
声をあげようとする退職者の動きに加わっていただくよう重ねてお願い申し上げます。
2014年7月
NHK全国退職者有志 よびかけ世話人
伊東周平 今井潤 門目省吾 小滝一志
よろしければ、下のマークをクリックして!
よろしければ、もう一回!