Apple vs. Samsung日本企業の轍は踏まず──サムスンを訴え続けるAppleの覚悟

なぜAppleはサムスンと特許訴訟で和解しないのか。日本の電機メーカーの失敗を教訓にしているかのような動きだ。

文: 三国大洋(taiyomikuni.com

サムスンの「Galaxy 5」とAppleの「iPhone 5」

サムスン「Galaxy 5」(左)とApple「iPhone 5」。よく似ているが、それも戦略の1つなのだろう ©ロイター / AFLO

 

ニュースのポイント

膨大な時間、費用、人員を費やして特許訴訟を続けるAppleとサムスン。出口の見えない戦いから一歩も引かないAppleには、「日本企業の轍は踏まない」という覚悟があるのかもしれない。

サムスン依存から脱却しようとするApple

Appleは毎年秋にモバイル分野の新製品である新型iPhoneやiPadを発売することで知られている。今年も秋には次期iPhoneなどが発表されるのであろうが、そうした次世代製品に搭載されると見られている新型プロセッサー「Aシリーズ」の出荷が、台湾セミコンダクター(TSMC、世界最大手の半導体委託製造メーカー)で始まったようだ。『Wall Street Journal』(WSJ)が7月10日に伝えた

AppleがTSMCに発注したという話は2013年に流れており、このニュース自体には驚くような内容は含まれていない。しかし、このニュースを裏返せば、Appleは自社製品で使う部品を、これまで頼り切りだったサムスンから他の企業から買うようになってきた、と見ることができる。「サムスン依存からの脱却」「アウトソーシング先の分散」がより一層進んだという点で、WSJはニュースバリューがあると判断したのかもしれない。

さて、このニュースを読んで、米高級紙『Vanity Fair』6月号に載っていた「スマートフォン大戦争」という記事を思い出した。Appleとサムスンのスマートフォン分野での戦いを描いた記事で、両社の歴史、特許侵害をめぐる訴訟合戦、iPhoneやGalaxy Sの開発と発表をめぐるエピソードなどが、かなり詳しく記されている。それぞれの話題やエピソードは既報のものが多いのだが、特に注目したい点は、書き手のKurt Eichenwaldが、Appleやモバイル端末とは関係のないところまで範囲を拡げてエピソードを拾っているところ。具体的には、シャープやパイオニアのような日本企業とサムスンとの間であった紛争を例に、サムスンのやり方には一定のパターンがあることを浮かび上がらせている点である。

次ページ:サムスンのやり口

MOREトップMOREトップ

LATESTNEWS

from WIRED

PAGE TOP