反ダンピング合戦に値下げ圧力、韓国鉄鋼業界は四面楚歌

鉄鉱石価格、年初より30%減…韓国自動車業界は鋼板価格引き下げ要求
韓米中「反ダンピング提訴」攻勢、反ダンピング関税賦課相次ぐ

 韓国鉄鋼業界が四面楚歌の状況に追い込まれている。国内では自動車など鉄鋼需要業界と値下げ問題で確執を生んでいる一方、海外の鉄鋼メーカーとは激しい反ダンピング(不当廉売)提訴合戦を繰り広げているためだ。中国製鉄鋼の供給過剰に加え、世界的に景気回復が遅れているため、鉄鋼業界の死闘はこれからもまだまだ長引きそうだ。

 鉄鋼業界の関係者が18日に語ったところによると、ゼネラルモーターズ(GM)の韓国子会社、韓国GMは鉄鋼大手のポスコに対し、自動車用鋼板の供給価格引き下げを要求したという。鉄鋼製品の主原材料である鉄鉱石の価格が今年初めに比べ約30%下がっているため、値下げを求めたものだ。現代・起亜自動車も同じ考えだ。

 鉄鋼メーカー各社は今年上半期、すでに1トン当たり約9万ウォン(約9000円)値下げしており「さらに値下げする余力はない」と粘っているが、最近それに影響を与える出来事が起こった。中国の宝山鋼鉄が韓国メーカーよりも低価格で自動車用鋼板の供給を提案してきたのだ。

 鉄鋼メーカー各社は、今年7-9月期の建設用鉄筋価格を4-6月期比で1トン当たり2万5000ウォン(約2500円)引き下げることで先日、建設各社と合意した。こうしたことを受けて家電・キッチンメーカーも相次いで値下げを要求する構えだ。

 韓国・米国・中国の鉄鋼業界間で行われている「反ダンピング提訴」合戦も負担になっている。米国政府は今月11日、石油掘削用パイプとして使われる韓国製鋼管に最高15.75%の反ダンピング関税を課した。カナダは今年4月、韓国製の一部の鉄鋼製品に最高59.7%の反ダンピング関税を課したのに続き、先月から韓国製の建設用鉄筋についても調査を行っている。

 現代製鉄と東国製鋼は今年5月末、中国の建設用鉄鋼(H形鋼)メーカーを対象に産業通商資源部(省に相当)貿易委員会に反ダンピング調査を依頼した。中国企業は韓国より20%以上低い価格で輸出しているという理由のためだ。H形鋼とは、建築物の骨組みに主に使われるもので、韓国の市場規模は約2兆ウォン(約2000億円)となっている。

 韓国産業研究院(KIET)のキム・ジュハン博士は「韓国の鉄鋼各社は現在の状況を『災い転じて福となす』きっかけにしなければならない」と語った。

金承範(キム・スンボム)記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース