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「無責任だ」「なぜ」 県内でも川内原発へ懸念 2014年07月17日

「無責任だ」「なぜ」 県内でも川内原発へ懸念の写真、図解
 原子力規制委員会が九州電力川内原発1、2号機の事実上の審査合格を決めた16日、50キロ圏内の県内4市町の首長や市民団体の関係者からは、再稼働に向けて強い懸念や不安、説明責任を求める声が相次いだ。

 原発事故時、鹿児島県出水市から避難者を受け入れる水俣市の西田弘志市長は「火山リスクなどが十分に考慮されない段階で、再稼働にお墨付きが出て心配。経済優先の中で水俣病を経験した市民にも再稼働への不安は強い」と懸念。避難計画の策定では国の積極関与を求めた。

 同県阿久根市の避難者を受け入れる芦北、津奈木両町。竹崎一成芦北町長は「規制委が安全の確保を判断すれば、それに基づく国の方針に委ねざるを得ない。国や県、九電は住民の安全対策について説明責任を果たすべきだ」と指摘。西川裕津奈木町長も「代替エネルギーで電力が賄えるようになるまでは、原発の再稼働もやむを得ない。避難者が発生した場合の放射能スクリーニング検査や除染などの準備を進めてほしい」と強調した。

 牛深地域が50キロ圏内にある天草市の中村五木市長は「エネルギー政策は国が責任を持って対応、判断すべき事項」とした上で、「安全性の確保は当然。国は丁寧に説明して理解を得る責務を果たしてほしい」と求めた。

 蒲島郁夫知事も「原発再稼働は専門家の技術的、科学的審査を踏まえ、国が責任を持って判断すべき事項。国は住民に丁寧に説明し、理解を得た上で判断してほしい」とのコメントを出した。

 一方、市民団体「原発避難計画を考える水俣の会」の永野隆文代表(59)は「規制委は新規制基準への適合のみを審査し、『原発が安全かどうかは別問題』と明言しており無責任だ」と憤る。水俣市の主婦大嶽弥生さん(58)も「福島事故の現状を直視していない。避難計画やハード整備が不十分なまま、なぜ“合格”となるのか」と首をひねった。

 「さよなら原発!九州沖縄・熊本実行委員会」の永尾佳代世話人(60)=熊本市東区=は「再稼働ありきで急いで審査した結果で、許せない。福島事故の対策すら見通しが立たない中、再稼働するのは見切り発車だ」と反発する。

 川内原発運転差し止め訴訟熊本原告団の中島熙八郎共同代表(67)=同区=は「新基準自体に問題があり、新たな知見にも対応していない。必要最低限の基準をクリアしたからといって、再稼働を認めていいはずがない」と力を込めた。


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