石橋亮介 ジュネーブ=松尾一郎 古谷祐伸
2014年7月19日10時24分
マレーシア航空機の墜落事件は、親ロシア派の武装勢力が、地対空ミサイルを使って撃墜したとの見方が強まっている。撃墜にはどんな武器が使われたのか、そしてマレーシア航空機はなぜその空域を飛んでいたのか――。
■機体粉々、漂う異臭
ドネツク在住のフリーランスジャーナリスト、アントン・スカイバさん(25)は、ツイッターの書き込みで墜落を知り、車で現場に向かった。
墜落から約2時間半後に現場に着くと、残骸からはまだ煙が立ち上っていた。ジェット燃料特有の灯油のような強い臭いも鼻をついた。機体の残骸が休耕地や草地の少なくとも1ヘクタール以上の範囲に散乱していたという。
スカイバさんは「草地や煙をあげる残骸のまわりなど至る所に遺体や遺体の一部が散らばっていた。目についた遺体は女性が多く、墜落の衝撃のためかほとんどが衣服をつけていない状態だった」と語る。
現場には、自動小銃を持った約60人ほどの親ロシア派兵士がいた。スカイバさんらがジャーナリストだと確認すると黙って取材を認めた。地元の消防署の隊員が黙々とくすぶる残骸への放水を続けており、その様子を兵士らはただ見守っていたという。
スカイバさんによると、兵士たちは現場の調査が終わるまで遺体や機体に一切触れないよう命じられており、飛行記録を収めたブラックボックスを探す様子もなかった。乗客のパスポートなどは見当たらず、「すでに回収されたのか、気づかなかっただけかわからない」という。
兵士らは近くの町を警護していた部隊で、スカイバさんに対し、「警備を命じられただけで、何も知らない」と説明。民間機が墜落した理由が分からず戸惑った様子で、「これは米国の挑発に違いない。米国は第3次世界大戦を始めるつもりか」と言っていたという。(石橋亮介)
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朝日新聞国際報道部
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