事務放棄:私費で生活保護支給 「面倒」と加古川市職員
毎日新聞 2014年07月12日 21時18分(最終更新 07月12日 21時41分)
兵庫県加古川市は11日、生活福祉課の男性主査(39)が生活保護の支給事務を怠り、申請者に計約30万円を私費で払っていたと発表した。市の聴取に対し「業務が忙しく、事務処理が面倒になった」と話しているという。内部調査で主査が保護費の関係書類に似た書類を勝手に作って申請者に送付していたことも判明しており、市は虚偽公文書作成容疑での刑事告訴も検討している。
市によると、主査は昨年7月26日、40代女性から「生活に足りない分をいただきたい」と生活保護支給の申請を受けたが、事務手続きをせず放置。同7月〜今年6月の間、5回程度にわたって計約30万円を私費で支給していた。一方、上司には昨年8月に「本人が申請を取り下げた」と虚偽の報告をしていた。
事務放棄は今年6月23日、女性からの保護受給証明書の発行依頼の電話で判明。主査は精神的理由で体調を崩したとして診断書を提出し、同26日から休んでいるという。
市では不祥事を今月8日、就任1日前の岡田康裕市長に報告。申請後の予定払い額の全額約120万円の支給を女性に通知した。
同課では「言い訳だが、昨年4月、担当職員が相談者に刃物で刺された事件で、3人の担当が2人になってしまった上、申請件数が増えて繁忙だった」と釈明。内部調査をなお進め、再発防止を徹底するとしている。
岡田市長は「市民の疑念を招き、信頼を損ねる結果となり心からおわびします。十分に原因等を調査します」と謝罪、全職員に意見を求めるメールを発信した。【高橋一隆】