ブラジルで蝶が羽ばたくと、テキサスで大竜巻が起きる…。これがエドワード・ローレンツという気象学者によって明らかにされた「バタフライ効果」です。微細な出来事も、甚大な結果に結びついていたのです。 単純系の科学(古い科学)では、微細な出来事は無視し、大きな出来事だけに着目して自然現象を解析してきました。ところが実際の自然界は、微細な出来事の積み重ねによって営まれているものです。 複雑系の科学(現代科学)では、微細な出来事も無視しないで自然現象を研究します。その結果、バタフライ効果のような現象が明らかになったわけです。蝶の羽ばたきという些細な出来事も、大きな気象現象の一要因になっていたのです。 このバタフライ効果も、私たちの生活に活かせる理論であると思っています。「世界平和の実現」という大きなことも、実は蝶の羽ばたきのような些細な出来事からスタートします。近所の清掃活動やさまざまな奉仕活動など、小さなことでも何十年間コツコツと続けていけば、必ず良い世界が作れるのです。 大きなことだけに目を向けるのは、古い科学観(単純系)です。ホームラン狙いばかりに終始して、バントの仕方、フォアボールの選び方、走塁の仕方など、小さなこと(しかし基本的なこと)を見失ってしまってはいけません。 結局、社会が良くならないわけは、「負のバタフライ効果」だと言えます。挨拶、近所付き合い・親戚付き合い、自治会やPTAへの参加、地域社会のルール遵守など、「世界平和の実現」というビッグ・プロジェクトに比べたら蝶の羽ばたきのような些細なことを、あまりにも疎かにしてきてしまったのではないでしょうか。 一度、大竜巻が起きてしまったら、蝶の羽ばたきを止めてもなかなか効果は出ません。しかし、効果が出ないからといって蝶の羽ばたきを無視し続けたら、次の大竜巻の原因となってしまうのです。私は、今からでも遅くないから、もっと些細なことを大切にする文化を根付かせたいと思います。 世の中全体が結果を性急に求めるような雰囲気になっています。疑似科学が流行ることも、その流れです。科学者の検証を待たずに、自分にとって都合の良い結論を信じています。「マイナスイオンは身体にいい」とか、「ゲームをやり過ぎると痴呆症のような脳になる」とか、「水にきれいな言葉をかけるときれいな結晶になる」とか、「霊が写真に写った」とか、「人間が排出する二酸化炭素で地球が温暖化している」とか…。 科学理論だけではありません。自民党が不祥事を起こせば大挙して民主党に投票し、民主党にゴタゴタがあればすぐさま支持率が30%まで落ち込む…。自分たちが投票した民主党を温かく見守ったらどうなのでしょう。一足飛びに結果を得たがる風潮が蔓延しています。(私は自民党に投票したので、温かく見守りませんが…(^_^;) 物事は、決して一足飛びには結果が出ません。「蘇生、長成、完成」という秩序的3段階の成長期間を経て、一定の結果が得られるのです。小さなこと、些細なこと、それは蘇生期の営みです。地味ですが、基本的なことです。 私がよく訪れる科戸の風さんのブログには、いつも感心させられています。このお方は神道ですが、毎週土曜日に地域のゴミ拾いをし、神社の掃除をし、昼食を断食したお金で募金したり、ホームレス支援団体に寄付をしたり、PTA会長を引き受けたりしています。1年半くらい前からブログを訪問していますが、ずっとこれらのことを続けておられます。 我々は謙虚に、世のため人のために尽くしている人たちを見習い、小さなこと(しかし基本的なこと、重要なこと)に対してコツコツと取り組んでいきたいものです。 このような取り組み自体は小さな羽ばたきであっても、バタフライ効果によって必ずや「真の愛の台風」が日本中に巻き起こるはずです。 |
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