号泣県議:兵庫県警が家宅捜索 虚偽公文書作成容疑で

毎日新聞 2014年07月18日 10時43分(最終更新 07月18日 14時15分)

野々村竜太郎・元県議の自宅に捜索に入る兵庫県警の捜査員ら=兵庫県西宮市で2014年7月18日、柳楽未来撮影
野々村竜太郎・元県議の自宅に捜索に入る兵庫県警の捜査員ら=兵庫県西宮市で2014年7月18日、柳楽未来撮影

 兵庫県の野々村竜太郎前県議(47)=西宮市=の政務活動費を巡る問題で、県警は18日、虚偽公文書作成・同行使容疑で野々村氏の自宅や実家などを家宅捜索した。政活費の支出を巡る強制捜査は異例。県警は詐欺容疑を視野に、押収資料を分析して野々村氏から事情聴取する方針だ。また県議会事務局は同日、野々村氏から、県議就任後に受け取った政活費全額を返納したとのメールが届いたと発表した。

 この日午前10時35分ごろ、県警の捜査員数人が、野々村氏の自宅がある西宮市のUR(都市再生機構)団地の一室に入った。パソコンや議員活動を記録したメモ類などを押収し、大量に購入したとされる切手や文房具などを確認するとみられる。野々村氏は不在で、捜査員が鍵を壊して入室した。

 県議会事務局によると、野々村氏が2011年6月の県議就任以降に受け取った政活費は計1834万円。この日午前6時51分に、野々村氏から「全額一括返納いたしました」とのメールが届いた。納付が確認できれば、利子約90万円を追加請求する。

 野々村氏は13年度までの3年間に、城崎温泉(兵庫県豊岡市)や東京、福岡などへの出張を計345回繰り返したとして、交通費計約780万円を支出したが、領収書を全く添付していなかった。更にスーパーで少額の買い物を繰り返し、議会事務局に「文具を買った」と説明していた。

 また、13年度に切手購入代として約176万円を支出。13年9月2日は大雨で特急が夕方まで運休していたのに城崎温泉に日帰り出張したと報告した。同11月21日には、学校行事に参加したとして交通費360円を計上したが、出席していなかったことが発覚。不自然な支出が相次いで見つかり、県議会が今月11日、虚偽公文書作成・同行使容疑で県警に刑事告発していた。

 野々村氏は県議会の聞き取り調査に不正を否定したが、支出を裏付ける証拠を示さず、「(出張の記録は)破棄した」などとあいまいな回答を続けた。県警は速やかな証拠保全が必要と判断し、既に野々村氏の銀行口座や支出先の鉄道会社、金券ショップへの照会を始めている。

 家宅捜索を受けて、梶谷忠修(ただお)議長は「捜査には全面的に協力する。野々村氏には一刻も早く説明責任を果たしてもらいたい」とのコメントを出した。【豊田将志、柳楽未来、後藤豪】

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