ベネッセ流出:名簿値崩れ 業者「数十社に販売」

毎日新聞 2014年07月19日 07時00分

 通信教育大手ベネッセホールディングス(岡山市)の顧客情報漏えい事件に絡み、流出情報とみられる名簿を英会話学校大手「ECC」(大阪市)に販売した大阪市の名簿業者が18日、毎日新聞の取材に「他の数十社にも売った」と証言した。この業者は昨年11月に約400万円で約760万件の名簿を購入したが、先月には相場が100万円になっていたという。値崩れするほど業者間に出回っており、情報が多数の企業に拡散した可能性が強まっている。

 業者社長の男性(51)によると、10年以上取引がある千葉県内の名簿業者から昨年11月中旬、「精度の高い子どもの名簿がある」と持ちかけられ、約400万円で購入した。名簿は、着物店や進学塾、教材販売会社など数十社に販売。ECCには今年2〜4月、ベネッセの顧客情報とみられる約2万7000件を含む計約7万5000件を、約60万円で売った。

 大阪市の業者は当初、「希少な名簿」だとみて同業者には販売しなかったが、今年に入って流通し始めたことから、同業者2社にも売った。先月には業者間の取引相場が100万円に下がっていたという。男性は「ここまで大きく値下がりするのはまれだ。出回り始めたため、各業者とも元を取るために必死で、たたき売りのような状態だった」と明かす。

 また、「流出情報だとは、報道で問題を知るまで気付かなかった。信頼していた同業者から買ったので安心していた」と釈明。今後は販売先に名簿の破棄を求めていくという。【松井聡】

最新写真特集