ガザ:地上戦33人死亡 ハマス徹底抗戦の構え

毎日新聞 2014年07月19日 00時12分(最終更新 07月19日 00時43分)

 【ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)大治朋子】イスラエル軍は17日夜(日本時間18日未明)、イスラム原理主義組織ハマスが拠点とするパレスチナ自治区ガザ地区への地上侵攻を開始した。イスラエルのネタニヤフ首相は一夜明けた18日、地上戦を大幅に拡大する用意があると発表した。パレスチナ医療関係者によると、地上戦でガザでは市民ら少なくとも33人が死亡、約200人が負傷した。イスラエル側は兵士1人が死亡、4人が負傷した。

 地上侵攻では、ハマスがイスラエル攻撃のために掘削した地下トンネルの破壊作戦を継続している。ネタニヤフ首相は18日の記者会見で「軍に対して、地上戦を大幅に拡大する可能性に備えるよう指示した」と明らかにした。

 ハマスのムシル・アリ・ムスリ報道官は18日、地元メディアに「イスラエルは高い代償を払うことになるだろう。1メートルも侵攻を許さない」と語り、徹底抗戦の構えをみせた。一方、カイロを訪問中のパレスチナ自治政府のアッバス議長は「さらなる流血をもたらし、過剰な攻撃を食い止める努力を難しくする」と話し、被害拡大に懸念を示した。

 イスラエル軍はすでに境界付近に数千人以上の正規軍を配備、予備役も合わせると数万人規模の部隊を配置しているとみられる。軍は18日、地上戦で計150カ所を攻撃し、地下トンネル5本、ロケット弾の発射台21台などを破壊したと発表した。

 侵攻は現状では境界から数キロ以内で、住宅密集地への大規模攻撃などは行っていない模様。ただ、地上戦の主要な攻撃目標となっているトンネルは一般民家や病院、学校などの床下などから掘削されているケースも多く、状況次第で侵攻範囲を拡大する可能性がある。

 双方による戦闘は8日に本格化。イスラエル側はこれまでに2180カ所以上を攻撃、ガザ側からのロケット弾攻撃は1550発以上に達した。空爆などでガザでは260人以上が死亡、1900人以上が重軽傷を負った。

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