2013-08-09
■[エロゲ/ギャルゲ]エロゲ業界とクラウドファンディングについてだらだらと
■美少女ゲーム業界が生んだクラウドファンディングの価値--「CAMPFIRE」で過去最高の調達
↑の所感。個人的にはクラウドファンディングって単なるツールだと思っていて。
オタク業界には「欲しいもののためなら高額でも出す」ってファンの方々は一定の割合で昔から存在してましたし――チャリティーオークションとかやると、モノによってはすごい金額になるってことはよくあるじゃないですか――そういった“使えるお金が多い人”と、彼らがお金を出してもいいと思う商品を結びつける役割を、たまたまクラウドファンディングが果たしたってことだと認識しています。SNSはあくまでもインフラで利用者が求めているのはそこに流れている情報であるのと同じで、クラウドファンディングは土管でしかない。
逆に言えば、方法がクラウドファンディングである必要は別にないというのはオバドラ自身がグリグリリメイクで実現しましたし、さらにいえば“使えるお金が多い人”から大量にお金を得るビジネスモデルは他にも存在します。ソシャゲとかがそうですね。
だから「クラウドファンディングだから成功したのではない」という認識は絶対に必要です。ある程度の知名度があって固定層ファンがいるブランドじゃないと、たぶん成功しないんじゃないですかね?
ただまあ、クラウドファンディングと美少女ゲーム業界がマッチングするというのを現実に証明して見せたbamboo氏の功績はとてもでかいと思っています。「KICK START GENERATION」公演映像化計画の文章にもプレゼン力と誠意の両方を感じますし。いやまあ、もちろん当該商品がちゃんとお客さんのところに届くってのが前提ですが。
とスーパー他人事のように書いているとおり、僕はオバドラの案件にお金出してません。何故ならオバドラのファンではないから。
あと、消費者としての僕は“使えるお金が多い人”ではないので、クラウドファンディングを通じて出資する意味があんまり無いんですよ。「KICK START GENERATION」円盤のように一般売りもする商品であれば、CFを通じて出資しても一般のお店で買ってもたいして変わらないわけです。
だからCFにかけるのであれば、CFでしか手に入らないようにするか、一般でも売るけどCFのほうが明らかにお買い得に見せるのは大事だと思います。先ほども書いたとおり、一定数のファンがいるブランドであれば高額出資者を何人か見つけるのはさほど難しくないはずなんです。問題は、いかに中間層を惹きつけるかじゃないですかね?
前にも書きましたけど、エロゲ業界でいえばビジュアルファンブックあたりは金額的にもモノの性質的にもクラウドファンディング向きだと思っています。
モノの性質という点について説明をすると、エロゲに限らずエンタメは、お客さんの想像を超えるモノを出さないといけないんです。つまり、仕込みは水面下でしておいて、お客さんの前に出すときはいきなり出さないとダメなんですわ。だから完全新作とか、あとファンディスクはクラウドファンディング向きではない。クラウドファンディングだと、先に「こういうの作りたいんですけど」ってプレゼンしないといけないので。
しかしビジュアルファンブックであれば、そういうサプライズは必要ありません。ゲームが出ればVFBが出る可能性は必ず生まれるからです。あとは欲しい人が何人居るかと、どれくらい中身を充実させるかがカギになる、そういう商材ですあれは。CF向きだと思うのはそれが理由ですね。
あとはサントラとか抱き枕とか――二次商品(って言い方が妥当か知りませんが)がいいんじゃないですかね。扱うものとしては。
発送代行をクラウドファンディングサイトに求めるのはどうなんかなあ。結局プレス(または印刷)→パッケージング→発送は専門業者がやることに変わりないので、誰がその進行管理をするかだけなんです。この場合の進行管理とは、作業者が間違えにくい作業フローを正確に現場に伝えることや、作業の進捗を電話や書面等で把握すること、そして必要な場合は自分が作業に立ち会うことなどを指すわけですが。
仮にクラウドファンディングサイトの人間が発送代行しますって言っても、彼らはそれを進行管理ごと下請けの業者に流すだけじゃないです? そして何%かハネるだけというw 彼ら自身が進行管理に特段優れているわけでも無い。であれば、任せる意味はあんま無いかなって。
あと、複数の商材を同一箇所で同時期に作業させると、入れるモノを間違える事故が発生する可能性も出てきます。客から見れば「なんでそんなの間違えるんだよ」って思うものでも、梱包作業してるのは中身とは全く関係ないアルバイトとかパートの人たちだったりするので、割と事故のリスクはでかいのではないかと思う次第です。と、昔印刷会社で営業していてDMとかの梱包現場を実際に見た感じでは思うのでした。似たような商材を同じ現場で何度も何度も扱えば現場も慣れてくるので、事故リスクは減ると思うんですが。
巨大通販サイトみたいに発送をシステム化できるとか、プレス屋(または印刷会社)と完全提携するとかしないかぎり、複数の商材をまとめて作業するメリットはない気がしますね。