マレーシア機撃墜:格安、効率よく ウクライナ上空ルート
毎日新聞 2014年07月18日 12時12分(最終更新 07月18日 13時12分)
ウクライナ東部上空で乗客乗員約300人を乗せたマレーシア航空機が撃墜された事故を受け、同社日本支店(東京都港区)は18日朝から日本人乗客の有無などの確認作業に追われた。同機の航路は日本から欧州へ向かう割安ルートにも使われているといい、同支店は今後の影響を懸念する。一方、専門家はウクライナを巡る紛争が民間航空機を巻き込む事態に発展したことを憂慮した。
マレーシア航空日本支店によると、本社から18日未明、「アムステルダム発クアラルンプール行きMH17便とのコンタクト(連絡)を失った」と情報が入った。同支店の担当者は「クアラルンプール経由で日本と欧州を行き来するルート(乗り換え便)は直行便より時間がかかるものの格安で、日本人が搭乗しても不思議ではない。今後、キャンセルが相次ぐなどの影響は避けられない」と困惑していた。
今回のマレーシア機は通常の運航ルートを飛行していたとみられる。航空評論家の清水喜由(きよし)氏は「欧州と東南アジアを結ぶ航路は、ウクライナ上空を通るのが燃料代を考えても効率の良いルート。危険な航路なら警告が出ているはずで、まさか民間機が狙われるとは思っていなかっただろう」と指摘する。
周辺は高度による制限があったとされ、同機はその高度をやや上回る1万メートル付近を飛んでいたとされる。
同機を巡っては親ロシア派、ウクライナのいずれかが撃墜したとの観測が強まっている。軍事評論家の前田哲男氏は「ロシアもウクライナも上空1万メートルぐらいを狙える地対空ミサイルを持つ。従来は、より低い高度のヘリコプターが手撃ちや肩撃ちの目視ミサイルで撃墜されたケースがほとんどで、国際民間航空機関(ICAO)も飛行禁止勧告を出していなかったのだろう」と分析。その上で「内戦や国境紛争に過ぎないとみられていたウクライナ情勢が民間航空機を巻き込むまでにエスカレートした反響は大きい」と話した。
【和田浩幸、町田徳丈、伊藤一郎】