マレーシア機撃墜:冗談のつもりで搭乗飛行機の写真投稿

毎日新聞 2014年07月18日 21時30分(最終更新 07月18日 22時22分)

投稿されたマレーシア航空17便の写真=オランダ・アムステルダムの空港で2014年7月17日、ロイター
投稿されたマレーシア航空17便の写真=オランダ・アムステルダムの空港で2014年7月17日、ロイター

 国際会議へ向かう高名なエイズ研究者、バカンスに向かうオランダ人カップル−−。マレーシア航空17便に搭乗していた乗客乗員298人は、激しい戦闘の続くウクライナ東部の上空で突然命を絶たれた。ミサイルによる撃墜というニュースは、世界を震撼(しんかん)させた。

 冗談のつもりでフェイスブックに投稿した内容が現実となった犠牲者もいた。乗客の一人とされるオランダ人のコール・パンさんは恋人とインドネシアでバカンスを過ごすため、アムステルダム・スキポール空港からマレーシア航空17便に乗り込んだ。

 「もし消えたとしたら、こんな姿の飛行機だ」。搭乗口で飛行機と自らの写真を撮影して投稿し、今年3月にインド洋で消息を絶ったとされるマレーシア航空370便(クアラルンプール発北京行き)を連想させるコメントを付けた。

 友人らもジョークで応じていたが、墜落後は次々と削除。「無事でありますように」「安らかに眠れ」などの祈りの言葉に変わっていった。投稿された機体の写真は世界中のメディアに掲載された。

 オーストラリア南部メルボルンの大学に通うマレーシア・ペナン島出身のエレイン・タオさん(27)はオランダ人のボーイフレンド(27)と搭乗して悲劇に巻き込まれた。2人はかつて同じ投資会社で働き、故郷マレーシアで結婚式を挙げる予定だったという。兄は豪テレビの取材に「明るく、賢い妹だった」と話し、「今のつらい時間をただ家族と静かに祈らせてほしい」と答えた。

 撃墜されたマレーシア機の乗員15人は全員がマレーシア人だった。同機を操縦していたワン・アムラン機長の親族(50)はマレーシア紙の取材に「もちろん怒っている。テロリストに殺されたのが本当だとしたら言葉もない」と答え、事故原因の究明を訴えた。この親族によると、機長の10歳の長男は墜落のニュースが流れてから泣きやまず、「なぜパパの飛行機が撃墜されないといけないの」と尋ね続けているという。【林哲平、清水憲司】

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