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経済
【正論】女性を活かせぬ国は競争力失う 早稲田大学教授・川本裕子
安倍晋三内閣は、成長戦略として、女性の活躍促進と働き方改革に大きな重きを置く。2020年に女性の就業率(25~44歳)を73%へ、指導的地位を占める女性の割合を30%程度に高める、そのために保育機能の拡充、女性就労に中立的な税・社会保障制度等の実現を目標としている。先の官庁人事でも、局長クラスに女性が何人か登用されたし、民間企業でも女性役員が少しずつ登場している。
≪問題は日本の構造そのもの≫
歓迎すべき変化だが、首相や中央銀行総裁などに女性が就任している他の先進国との隔たりは大きい。欧州でも北米でも最初は「女性は家庭」という価値観が支配的だった。英国や北欧で男女を職場で平等に扱うこととした法律ができたのは1970~80年代だ。制度面の出発点は日本とそれほど変わらないのに、その後40年ほどで大きな差がついてしまった。
その点をまず押さえ、「問題は日本の構造そのもの」という認識から出発しない限り、変化は表面的に終わり、政府目標も達成できないだろう。前回の本欄でも述べたが、「男性中心の同質的な集団のやりかたに女性の視点を少し付け加えればいい」という発想では立ち行かない。
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