生活保護訴訟:中国人女性の逆転敗訴確定 最高裁
毎日新聞 2014年07月18日 21時01分
外国籍であることなどを理由に生活保護の申請を却下されたとして、永住資格を持つ中国人女性(82)が大分市の処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は18日、女性の訴えを認めた2審・福岡高裁判決(2011年11月)を破棄し、女性側敗訴の1審を支持した。女性側の逆転敗訴が確定した。小法廷は「生活保護法が適用対象とする『国民』は日本人を意味し、永住外国人にも準用される根拠は見当たらない」という初判断を示した。
1審・大分地裁は10年10月、生活保護法が対象を日本人に限定しているとして女性側の訴えを退けた。これに対し2審は、旧厚生省が1954年に外国人を行政裁量で同法に準じて扱うよう通知した点から「一定範囲の外国人も、生活保護法の準用により法的保護の対象になる」と判断し処分を取り消した。小法廷は「通知を根拠に外国人が生活保護法に基づく保護の対象になるとは解されない」と2審判断を退けた。
1、2審判決によると、女性は日本で生まれ自営業を営んだが生活に困窮。08年12月、市に生活保護を申請したが却下されたため提訴した。その後の11年10月から生活保護を支給されている。
最高裁判決後、女性側の弁護団は東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し「生活保護は最低限のセーフティーネット。永住外国人にも認めるべきだ」と訴えた。【川名壮志】