【名古屋場所】大砂嵐、横綱初挑戦で初金星!スピード2位の15場所目

2014年7月18日6時2分  スポーツ報知

 ◆大相撲名古屋場所5日目 ○大砂嵐(すくい投げ)鶴竜●(17日・愛知県体育館)

 アフリカ大陸初の力士でエジプト出身の西前頭3枚目・大砂嵐が、横綱初挑戦で初金星の大仕事をやってのけた。東横綱・鶴竜をすくい投げで撃破。初土俵から所要15場所目での初金星獲得は、年6場所制となった1958年以降に初土俵を踏んだ力士としては、小錦に次いで2位のスピード記録となった(幕下付け出しを除く)。全勝は横綱・白鵬と大関・琴奨菊に、平幕の高安と千代丸を加えた4人となった。

 新たな時代の幕開けを予感させる初金星となった。土俵際の逆転で鶴竜に土をつけた大砂嵐は「(いつもと)あまり変わらない」。元大関・小錦に次ぐ、初土俵から15場所目でのスピード初金星にも表情を変えずに勝ち名乗りを受けた。「まだ場所が終わってないからうれしいとかうれしくないとかはまだ早い」といいながらも支度部屋に戻ると笑みをこぼし、金星の味をかみしめた。

 あいさつ代わりの強烈な右のカチ上げは鶴竜が左に変化して不発。左上手を取られ横綱の十分な体勢となったが、巻きかえにきた一瞬のスキにつけ込んだ。土俵際で逆転のすくい投げに「いつも通り」といいながらも力を込めた。館内に舞った座布団も「見てなかった」と集中しきっていた。

 念願の金星だ。08年の世界ジュニア選手権で個人無差別級3位になった実績を引き下げ、11年8月に来日。「外国人力士の入門は1部屋に1人」という内規がハードルとなり、約2週間の“就職活動”を経て大嶽部屋に入門。同じ昨年名古屋場所で十両に昇進した「同世代のライバル」遠藤に先を譲ったが、角界デビューから15場所目で「相撲の神様」とあこがれる横綱を初挑戦で撃破。昨年春場所の千代大龍以来だが「まだまだこれからです」と目標の三役昇進へ気を引き締め直した。

 先月29日から始まり、千秋楽まで続くラマダンも半分以上が過ぎた。この日の取組後には「腹減った。きょうはすごい暑いからのどが乾いたよ」。思わず本音を漏らしたが、そんな弱音を感じさせないような力強さを土俵の上では見せつけた。

 戦後、初挑戦からの2日連続金星の例はない。6日目も横綱・日馬富士に挑む。かつてはハワイからやってきた小錦が横綱・隆の里を破り、「黒船襲来」と恐れられたように、エジプトからやってきた22歳が2日連続金星へ向かっていく。(安藤 宏太)

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