39歳派遣逮捕「金が欲しかった…」ベネッセ情報流出

2014年7月18日6時0分  スポーツ報知
  • ベネッセの顧客情報流出問題で逮捕され、警視庁多摩中央署に入る松崎正臣容疑者

 通信教育大手ベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件で、警視庁生活経済課は17日、不正な利益を得る目的で約1000万件のデータをコピーし入手したとして、不正競争防止法違反(営業秘密の複松崎正臣容疑者製)の疑いで、外部業者の派遣社員だった東京都府中市のシステムエンジニア(SE)・松崎正臣容疑者(39)を逮捕した。一方、ベネッセホールディングスは同日、顧客に対する補償として200億円の資金枠を設け、受講料の減額などをする方針を示した。

 この日午後2時すぎ、府中市の自宅マンションから連行された松崎容疑者は、丸刈りでひげが薄く伸びていた。疲れた表情で終始うつむいたまま。近所の女性は、松崎容疑者がベビーカーを押し、妻と幼い娘2人と一緒に買い物に行く姿をたびたび見たという。「親の気持ちが分かるはずなのに」と言葉少なだった。

 警視庁によると、松崎容疑者は「ベネッセの顧客情報を持ち出したことに間違いありません」と供述。逮捕前の任意聴取には「金が欲しかった。売ってはいけないことは知っていた」と話しており、「昨年7月から今年6月まで、月に1、2回の頻度でデータを持ち出し、インターネットで探した名簿業者に15回、計約250万円で売った。重複分も含め、延べ約1億件持ち出した」と説明していた。

 逮捕容疑は6月17日、ベネッセの関連会社「シンフォーム」(岡山市)の東京都多摩市の事業所で、業務用のパソコンを操作して、営業秘密に当たる約1019万件の顧客情報をダウンロードして保存。私用のスマートフォンに転送させて、コピーを作成し入手した疑い。

 松崎容疑者は、「シンフォーム」でシステム開発・保守を担当し、顧客情報のデータベースに接続するための権限も付与されていた。捜査関係者によると、経験のあるベテランで後輩のSEを指導する立場だった。

 不正に入手したデータは、1993~2013年に生まれた子どもの氏名や住所、生年月日、保護者の氏名などが含まれており、居住地は全国に及ぶ。ベネッセが鑑定した結果、すべてのデータが持ち出されたものと一致した。

 警視庁によると、松崎容疑者は昨年7月、スマホを充電しようと業務用パソコンにつないだところ、データが取り込めることに気付いた。スマホ本体のマイクロSDカードにコピーして、持ち出しを繰り返すようになったという。

 松崎容疑者は膨大なデータを持ち出し、売却したとみられているが、警視庁はコピーした疑いに限定して逮捕に踏み切った。今後はデータを第三者に渡した開示容疑でも立件する方針で、過去最大規模の情報流出事件の全容解明を目指す。

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