ベネッセ流出:「ギャンブルや入院費で借金」SE供述
毎日新聞 2014年07月18日 20時42分
通信教育大手ベネッセホールディングス(岡山市)の顧客情報漏えい事件で、不正競争防止法違反(営業秘密の複製)容疑で逮捕されたシステムエンジニア(SE)、松崎正臣容疑者(39)=東京都府中市=が、警視庁生活経済課の調べに対し、「ギャンブルで約60万円の借金があり、家族の入院費などと合わせると約170万円の借金があった」と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。同課は借金による生活苦が、不正な顧客情報の持ち出しや売却につながったとみて調べる。
また、同課は18日、松崎容疑者が顧客情報を売却したとされる千代田区の名簿業者を家宅捜索した。パソコンやサーバー、領収書など段ボール14箱分の資料を押収、流出ルートの解明を進める。
松崎容疑者は6月17日、ベネッセのグループ企業の「シンフォーム東京支社」(多摩市)で、管理を担当していたデータベース(DB)から営業秘密の顧客情報約1019万件を貸与パソコンにダウンロード。私有のスマートフォンに移してコピーしたとして、7月17日に逮捕された。
供述などによれば、今年6月までの約1年間に延べ1億件以上の顧客情報を約15回に分けて持ち出し、この名簿業者に売却して計約250万円を得たという。捜査関係者によると、松崎容疑者は趣味のパチンコや競馬に金をつぎ込み、消費者金融から借金を重ねていた。月給約38万円のうち、約11万円を毎月の返済に充てていたという。
松崎容疑者は1993年に工業高校を卒業後、民間企業に就職してシステム開発に従事。専門学校にも通いながら、プログラミング技術などを学んだ。その後、2度転職し、2012年1月に直近まで勤めていたIT関連企業に就職。ベネッセからDBの保守管理を委託されたシンフォーム東京支社で同年4月から外部業者のSEとして働いていたが、問題発覚後の今月10日に解雇された。
松崎容疑者はシステム開発では約20年の経験を持つベテラン。転職を繰り返した理由については「管理職になると部下も多く、残業が多い割には給料が安かったため」と説明したという。【林奈緒美】