久しぶりに書くのでちょっと古い話題かもしれません。
すみません。
ちょっと前にどこかの社長がブログで「会社に来ているのに学生気分が抜けていない奴が多くて困るぜ!」的なことを書いていたのを見たのですが、なんか引っかかるな―ともやっと感じて、たまに思い出してはこのもやもやはなんだろうと考えていました。
で、いろいろ考えた末、結局もやもやの原因は「学生気分」という単語そのものではないかと。
「学生気分」という言葉を使う人は学生に対して「遊び半分」とか「自発的に動けない」とか「プロ意識を持っていない」とかのイメージを持っているんじゃないかなーと思います。
でもそれって本当に「学生だから」なんでしょうか。
私はそうは思いません。
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彼らは日々の授業や課題をこなすだけでなく、将来のスキルとして何が必要かを考えて友達と協働してコンテストに応募したり制作物を一生懸命作っている。
課外活動をしていない人でも単位の取得が非常に厳しい大学や学科に通っていた人は、本当に真面目でコツコツひとつのことに取り組める力を持っている人が多かった。
日々を怠惰に過ごすのではなく、今しかできないことをモラトリアム期間を目一杯使って必死にあがいている人を、たくさん見てきたのです。
お金はないし未来もよく見えないけど、まだ自分には可能性があるし、なりたい自分になるために今を一生懸命頑張る。
勉強し続ける。
そういう学生さんはたくさんいますし、みんな目がキラキラして活力にあふれています。
自分の知り合いの元美大生で在学中にいろんな賞を取っていた人も、学生は勉強して己を磨くものだ、勉強しない学生は学生である意味がないと言っていました。
本当にそのとおりだと思います。
社会人になってしまった今では仕事と関係ないことで一生懸命になれることはなかなかないですが、自分を磨く向上心を忘れてはいけないのは社会人も一緒だなと思います。
今になっても年下の学生さんから学ぶことは多いです。
だからこそ「お前は学生気分なんだよ」と学生をネガティブな文脈で使われるのを聞くともやっとするのです。
日々切磋琢磨している学生に失礼なんじゃないかと。
学生とは遅刻をするものなのか。
学生とはいい加減なクオリティをよしとするものなのか。
学生とは教えられるばかりで自ら学ぼうとしないのか。
「学生気分」という言葉を使う人はおそらくそのような学生生活を送ってきたのでしょう。
そうでなければこれらはその人のパーソナリティの問題として扱うはずです。
私は社会人になってそこそこたつオジのサンですが、中途半端に「自分はデキるオトナだ」と思っている人ほど、学生はダメだ、学生気分が抜けていないと言っている人が多いと思います。
社会人が学生や新入社員に「学生気分が抜けてない」と説教するのは、反論できない位置からの意見なので卑怯なんですよ。
「最近の若いもんは」と同じで。
説教をすることが目的の説教ほど、その人の言葉の重みを下げるものはありません。
真面目でない学生に存在価値が無いとはいいません。
私だって出たくない授業はサボって、試験前にまわりまわった過去問のコピーみたいなものをコピーして何とか単位を取ったりする学生でした。
いけないのは学生全体をネガティブにあつかってバカにすること。
未成熟なものの代表として扱うこと。
真摯に己と向き合って努力し続けている学生たちを間近で見てきたからこそ、私はそう思います。
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