ガザ侵攻:停戦交渉巡り、乱れる周辺国の足並み

毎日新聞 2014年07月18日 19時13分(最終更新 07月18日 19時19分)

 【カイロ秋山信一】イスラエル軍が17日に開始したパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻で、エジプトなど周辺国の停戦仲介も暗転した。主要な仲介役のエジプトは、地上侵攻直前に停戦案を拒絶したガザ拠点のイスラム原理主義組織ハマスの後ろ盾のカタールやトルコを名指しで非難。停戦交渉を巡り、周辺国の足並みが乱れていることが浮き彫りになった。

 「ハマスがエジプトの停戦案を受け入れていれば、少なくとも40人のパレスチナ市民の命が救われていたはずだ」。国営中東通信によると、エジプトのシュクリ外相は17日、地元メディア幹部との会合で、停戦案を拒絶したハマスにいら立ちを示した。さらにカタールやトルコが「ハマスと結託して、エジプトの努力を妨害している」と非難した。この会合の直後イスラエル軍が地上侵攻を始めた。

 エジプトは2012年11月、イスラエルがガザを空爆した際、停戦を仲介し、地上侵攻を回避させた。当時はイスラム組織ムスリム同胞団出身のモルシ大統領が仲介役を務め、同胞団から派生したハマスに影響力を行使した。

 ところが昨年7月の軍事クーデターでモルシ政権が崩壊し、軍が政治の主導権を握ると外交関係は一変。軍出身のシシ大統領は同胞団を「テロ組織」と非難し、同胞団と協調してきたハマスやトルコ、カタールとの関係も冷え込んだ。

 イスラエルメディアによると、エジプトが14日に提示した停戦案をハマスが拒絶した背景には、カタールとトルコが拒否するよう促したとの情報もある。カタールやトルコは、仲介に加わって交渉をハマス有利に進めたい思惑があるとみられる。15日にはカタールのタミム首長とトルコのギュル大統領が会談し、ガザ情勢を協議した。だがイスラエルは交渉がハマス寄りに進むことへの警戒感から、両国が仲介に加わることに否定的だ。

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