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地対空ミサイルで撃墜か 国際的調査が焦点
7月18日 19時00分

地対空ミサイルで撃墜か 国際的調査が焦点

ウクライナ東部で墜落した乗客乗員298人を乗せたマレーシア航空の旅客機は何者かに撃墜されたという見方が強まり、対立するウクライナ政府と親ロシア派の武装集団が互いに相手を非難するなか、原因を究明するための国際的な調査が実現するかどうかが焦点になっています。

墜落したのはオランダのアムステルダムを出発し、マレーシアのクアラルンプールに向かっていたマレーシア航空のボーイング777型機です。
旅客機にはオランダ人やマレーシア人など乗客283人、乗員15人の合わせて298人が乗っていて日本時間の17日夜、ウクライナ東部の上空を飛行中に墜落しました。
旅客機の破片は広範囲に散らばっていて捜索活動が続けられていますが、これまでのところ生存者は見つかっていません。
墜落について、アメリカのバイデン副大統領が「事故ではなく、上空で撃墜されたようだ」と述べるなど、何者かによって撃墜されたとの見方が強まっています。
ウクライナ政府は「テロリストの仕業だ」として、親ロシア派の武装集団を強く非難しているのに対し、親ロシア派の武装集団は「上空1万メートルを飛ぶ航空機を攻撃できる武器は持っていない」として、ウクライナ軍による撃墜だと主張しています。
墜落の原因究明についてウクライナ政府はオランダやマレーシア、アメリカなどから専門家を受け入れ、国際的な協力態勢で取り組みたいとしています。
また、親ロシア派も18日、ウクライナに監視団を派遣しているOSCE=ヨーロッパ安全保障機構との協議で、国際的な調査に協力する姿勢を明らかにしたということです。
墜落現場の周辺を支配している親ロシア派は旅客機から飛行データを記録するフライトレコーダーを回収したとも伝えられていて、今後、親ロシア派も協力して国際的な調査が実現するかどうかが焦点になっています。

地対空ミサイル「ブーク」所持か

親ロシア派は上空1万メートルを飛ぶ航空機を撃墜できる武器を持っていないと反論していますが、親ロシア派のグループ、「ドネツク人民共和国」は先月29日、みずからのツイッターで、射程が2万5000メートルの地対空ミサイル、「ブーク」をウクライナ軍の防空ミサイル部隊から奪い取ったと誇示していました。
現在、ツイッターのサイトからブークに関する記述は削除されていますが、同じ防空ミサイル部隊を制圧したとの発表は残っています。【専門家「ブークは撃墜可能」】ウクライナ政府の高官がマレーシア航空の旅客機が地対空ミサイル「ブーク」で撃墜されたと指摘したことについて、元海上自衛官で軍事や安全保障に詳しい東京財団の小原凡司研究員は、「ブークは高度が2万2000メートルまで届くので、高度1万メートルで飛んでいた旅客機にも十分届く」と述べ、撃墜は可能だったという認識を示しました。
また、小原研究員は「ブークは、旧ソビエトが開発した中低高度用の対空ミサイルで近年、改良されたものは高度がさらに伸び、追尾用のレーダーと自走式の発射台が一緒に動くかたちになっている」と述べたうえで、ロシアだけでなく、ウクライナなど旧ソビエト諸国の多くが、旧式のものか改良型のいずれかを保有していると指摘しました。
さらに小原研究員は旅客機の撃墜がウクライナ軍と親ロシア派のどちらによるものかについて、「ともに民間航空機を撃墜する特段の理由がない」としたうえで「ロシアは親ロシア派をアメリカはウクライナをかばおうとするので、一方的な調査では明確な調査結果は出ない可能性が高く、国際的な調査団が入って調査が行われるべきだ」と述べました。

プーチン大統領「客観的な調査必要」

ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は18日、オランダのルッテ首相と電話会談を行い、マレーシア機の墜落について、「戦闘が続くウクライナ東部の危機的状況をできるかぎり早く平和的に解決する必要がある」と伝えたということです。
そのうえで、墜落原因の調査については「客観的で綿密に行われなければならない」と強調し、親ロシア派の武装集団が撃墜したと主張するウクライナ政府をけん制しました。

乗客278人の国籍判明

マレーシア政府は日本時間の18日午後5時すぎからクアラルンプールで記者会見し、墜落した旅客機の乗客乗員298人のうち278人の国籍が判明したと発表しました。それによりますとオランダ人が173人、マレーシア人が乗員15人を含む44人、オーストラリア人が27人、インドネシア人が12人、イギリス人が9人、ドイツ人が4人、ベルギ-人が4人、フィリピン人が3人、カナダ人が1人、ニュージーランド人が1人だということです。
マレーシア政府は残る20人の国籍の確認を急いでいるとしています。

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