こどもってなんであんなにしつこいんですかと私は尋ねたい。たとえば雨の日に家で、二人でかくれんぼをするとします。「お母さん鬼やってー」「うんいいよー」で、「もういいかーい」で「もういいよー」で、サー探すぞって顔上げた瞬間に座布団の下に頭だけ突っ込んでる息子の姿が目に入るんです。見えてる。見えてるって。ボデーが丸見えなんだって。
でもすぐ「見つけたーっ」てやるのもつまらないので「おもち(仮名)くーん、アレッ? どこかなあー、あっれー」ぐらいの演技はやりますよね、やるよ私は。それからそのへんに転がっていたボールを手に取って「おもちくん見ーっけ。うわーなんだか丸くなっちゃって、顔もやたら黄色いし……何このクマの絵! タトゥー? ヤダ! 不良! ゴロツキ! ママ泣いちゃう! ってこれボールだーッ!! 騙されたーッ!!」程度にはボケる。
うん、わかっとる。わかっとるて。そんなに面白くないボケだということはわかっとるよ。うん。でもこちとら小学校の通信簿に六年間ずっと「声が小さい」って書かれてきた、もし「国民的性格が暗いおばさんコンテスト」が開催されたら間違いなくグランプリ狙える女ですから、この程度のはっちゃけが精一杯なわけです。
でも息子はこの私の精一杯を何十回も要求してくるんです。「もういっかい! もういっかい!」ってね。止むこと無きもういっかいコール。止まない雨は無いそうですが、もういっかいコールは「勘弁してくださいッ!」ってトッキュウジャーソーセージを差し出して懇願しても止まないから。こどもってなんであんなにしつこいんですかと今一度問いたい。
あとはやっぱり「質問」です。それ確認してどうするんだよってことを尋ねてくる。何人も順番待ちしてる公衆トイレの個室内で「お母さん! うんこ? おしっこ? どっち?」とかしつこく言ってくる。どっちの料理ショーぐらいどっちどっちって言うてくる。どっちでもいい。そんなことを大声で尋ねられながら用を足す母の気持ちもちったあ考えてほしいんだよ。
「どっち? ねーどっち?」
「あっわかった、うんこ? 」
「うんこ? ねえうんこって言ってヨォー」
「いいから言ってヨォー」
途中から明らかに「母にうんこと言わせたい」方向に舵を切ってもうてるんですけど、それでもしつこいことには代わり無く。トイレを出る頃には汗だくですから。公衆トイレに入るたびに毎回排泄物以外の色んなものも出しきっちゃってますから。これをデトックスとは呼ばせねえから。おわりですから。