今回はプロと素人の「選び方」の違いについてすこし考えてみました。
ニッポン放送『back numberのオールナイトニッポン』の2014年7月14日放送分よりピックアップ。
今年で60周年を迎えた「ニッポン放送」。
それに伴い、いま局はもちろん各番組をあげてイベントや番組内でのキャンペーンなどを行っています。そのキャンペーンの一環として、『忘れられぬミュージック』という記念ソングが制作されました。
そんななかボーカルの清水依与吏さんも制作に携わっている、こちらの「back numberのオールナイトニッポン」の先日の放送で、この記念ソングにちなんで「忘れられない8cmシングル」というコーナーが放送されました。
タイトル通り、各々が忘れられない8cmシングルを紹介していくという至ってシンプルなコーナーです。今回はこちらのコーナーをご紹介して、ちょっと考えたことを書いていこうと思います。
back numberのオールナイトニッポン 毎週火曜 25:00〜27:00
しゃべるひと
- 清水依与吏さん(ボーカル、ギター)
- 小島和也さん(ベース、コーラス)
- 栗原寿さん(ドラムス)
清水:わたしの、忘れられない8cmミュージックは槇原敬之さんの『どうしようもないぼくに天使が降りてきた』です。
これ、ぼくは正直、日本に現存するテンポの速い、すごい速いわけではないけど疾走感のあるアップの曲の中で「どの曲が1番いい曲ですか?」って聞かれたときに、未だに間違いなくこの曲は上がってきます。もちろん他にも候補は上がってくるかもしれないですけど。
一番最初に聞いた時に、この曲は本当にビックリしました。
(曲の再生が終わる)
清水:歌詞が、ドラマチックというか。
ぼくもよくやるじゃないですか、同じことを歌っているんだけど、少しずつ時系列がズレていって自分のこころの中の何かが進展している、で、一番最後の一言が…、っていうところで。これ、すごいよ。
1番好きな歌詞が、「君が両手をそらに上げて目覚まし時計は飛んでいった まるで誰かを見送るようにそっと微笑んで」って。で、その後に「壊れた目覚ましよりもっと痛かった君の…」…、泣きそうです!!すごい!すごい!!
ほんとにすごくない!?なに、これすごくないの!?すごいよね?
なんでこれ、歌った時点で引退を考えなかったのかな?絶対考えたと思うよ1回。これ書いちゃったら、もう無理じゃない?
栗原:でも、「ニューアルバム」って書いてあるからね。
清水:だから、その後もずーっとやり続けてるじゃん。精神力、メンタルがハンパない。この曲を書いた後に、いい曲をたくさん書いてるじゃない。メンタルがハンパない!
自分の思い出とかどうでもよくなるくらい良い曲だったな。
これ、しゃべっているときの熱量がすごいのはもちろん、とても印象的だったんですよね。
ぼくは、プロが選ぶ「すごいと思う」作品と一般オーディエンスが選ぶそれにはどんな違いがあるのかな?といつも疑問に思います。たしかにプロの方も、「プロ」とは言えど作品を味わうときは一人の「オーディエンス」です。ですが、こうして「どの作品が1番良いですか?」と聞かれたときに、やはりプロの方はいわゆる素人が持っていない見方で判断しているのではないかと思います。
例えば、ぼくはお笑いが好きでよく賞レース番組を見るのですが、その年のコント王座を決める「キングオブコント」などは、準決勝で落ちて決勝に進めなかった芸人さんたちが決勝の審査をするという仕組みになっています。これはまさに「プロが選ぶ作品」の意向がダイレクトに反映されるシステムです。
ここで、「プロが選ぶ」ときの基準を考えると、それはシンプルに「自分にもできる(創れる)かどうか」だと思います。プロは技術が優れているので、ある程度のクオリティなら誰でもできてしまいます。それがプロというものです。
ただ、そこから「あれはすごい」とプロに一目置かれる点は、やはり他のプロでさえ真似できないオリジナリティなのではないか、と思うのです。歌手の場合、それは歌声だったり、歌詞を書くセンスだったり、様々です。この例でいうと、清水さんは槇原さんの歌詞を読んで、「自分にはできない」尊敬の念も込めてこのように表現しているだと思います。
何か好きな作品を選ぶときに、その道の人ではない一般オーディエンスは純粋に自分の感性で選びます。しかし、プロはそれに加えて何かプラスαのフィルターがあるはずです。ここは、対象のジャンルや個人レベルで違ってくると思いますが、「自分が何かのプロだ」と自覚している方は、独自の目線で、一般人が選ぶものとプロが選ぶものはどんな違いがあるのか考えてみてもおもしろいかもしれませんね。
back numberのオールナイトニッポン 毎週火曜 25:00〜27:00
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