特定秘密保護法:運用基準素案 「情報隠し」懸念残る 

毎日新聞 2014年07月17日 12時19分(最終更新 07月17日 13時05分)

第2回情報保全諮問会議であいさつする安倍晋三首相。右は森雅子特定秘密保護法案担当相=首相官邸で2014年7月17日午前10時10分、武市公孝撮影
第2回情報保全諮問会議であいさつする安倍晋三首相。右は森雅子特定秘密保護法案担当相=首相官邸で2014年7月17日午前10時10分、武市公孝撮影
特定秘密の「統一的な運用基準」とは
特定秘密の「統一的な運用基準」とは

 特定秘密をどう運用するのか。法律の施行まで半年を切って、政府がようやく素案を示した。秘密の対象となる事項をこれまでより細かく定め、法案審議の最終盤に唐突に浮上した政府内のチェック機関も概要を明らかにした。しかし、政府にとって都合の悪い情報が隠されてしまうのではないか、という懸念が払拭(ふっしょく)されるわけではない。

 秘密事項の細目では、テロ防止に関する事項に「重要施設、要人等に対する警戒警備」という項目が規定された。それを見る限り、原発の警戒警備も対象になる可能性がありそうだ。しかし「警戒警備」と一口に言ってもかなり幅広い内容を含む。事故の際の住民の避難に関わる情報まで隠されて自治体に届かない事態が起きないか、気にかかる。

 政府はチェック機関を「重層的」と自賛するが、その機能もやや不透明だ。内閣府に置かれる「独立公文書管理監」の場合、特定秘密を直接見て監視するわけではなく、問題のありそうな秘密を察知できるのか疑問だ。

 政府は今月末から国民の意見を募集する。寄せられた有益な意見を取り入れて、法律のはらむ危険性を少しでも解消すべきだ。【青島顕】

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