特定秘密保護法:内部通報制度を新設 運用基準素案

毎日新聞 2014年07月17日 12時20分(最終更新 07月17日 14時17分)

第2回情報保全諮問会議であいさつする座長の渡辺恒雄・読売新聞主筆(右端)。左端は安倍晋三首相=首相官邸で2014年7月17日午前10時12分、武市公孝撮影
第2回情報保全諮問会議であいさつする座長の渡辺恒雄・読売新聞主筆(右端)。左端は安倍晋三首相=首相官邸で2014年7月17日午前10時12分、武市公孝撮影

 ◇恣意的指定を監視

 政府は17日午前、国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法に基づき、特定秘密の指定・解除などに関する統一的な運用基準や秘密を指定できる府省庁を19機関に限定した政令の素案を、有識者会議「情報保全諮問会議」(座長・渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長兼主筆)に提示し、同会議は了承した。素案は特定秘密の指定範囲を「必要最小限」とすることや秘密の取り扱いをチェックする監視機関、恣意(しい)的な秘密指定を監視する内部通報制度の新設を盛り込んだ。政府はパブリックコメント(国民の意見公募)を経て運用基準などを秋に閣議決定し、12月上旬の法施行を目指す。

 安倍晋三首相は諮問会議で、素案について「漠然とした不安を感じている人にも、広く理解されると確信している。特定秘密の取り扱いの客観性と透明性がより一層進展することが期待される」と述べた。ただ、特定秘密の指定を巡る政府の裁量の余地は依然として大きく、国民の「知る権利」が侵害されるとの懸念をいかに払拭(ふっしょく)するかが課題だ。

 素案は留意事項として、必要最小限の情報を必要最低限の期間に限って特定秘密として指定することや、基本的人権、報道・取材の自由の尊重を明記。秘密を指定できる行政機関を、全61機関のうち、防衛省や外務省、警察庁など19機関に限定した。また、同法が特定秘密に指定可能な分野とした防衛▽外交▽特定有害活動(スパイなど)防止▽テロ防止−−の4分野23項目について、素案では55項目に細分化した。

 政府による恣意的な秘密指定や廃棄を防ぐ監視機関として、第三者機関の情報保全諮問会議のほか、政府内に新たに3機関を設ける。内閣官房に府省庁の事務次官級でつくる「内閣保全監視委員会」(仮称)を設置し運用基準が守られているかどうかをチェックするほか、内閣府に審議官級の「独立公文書管理監」(同)、その下に「情報保全監察室」(同)を置き、行政文書の管理が適正かどうかを監査する。

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