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MUSIC

大ヒットする作品の意外な共通点 田中宏和×DE DE MOUSE対談

インタビュー・テキスト:タナカヒロシ 撮影:豊島望(2014/07/18)

1980年代から『スーパーマリオランド』『テトリス』『MOTHER』シリーズなど、名作ゲームの音楽を手がけたことで知られ、その後は『ポケットモンスター』シリーズなどの作曲でミリオンセラーを打ち立てるなど、音楽家として偉大な功績を築き上げてきた田中宏和(株式会社クリーチャーズ代表取締役社長)。経営者でもありながら、現役バリバリのクリエイターとして活動を続ける彼が、新しいiPhoneアプリをリリースするという。そこで今回は、田中サウンドから多大なる影響を受けたと公言してはばからないDE DE MOUSEに聞き手として参加してもらい、驚きを禁じ得ないこれまでの仕事の裏側について、記憶に残るサウンドを生み続けた独自の音楽観について、そして無限の可能性を秘めた新アプリ『aDanza』について語ってもらった。

PROFILE

田中宏和(たなか ひろかず)
株式会社クリーチャーズ代表取締役社長。作曲家。1980年、任天堂に入社。ゲーム&ウオッチやファミコン、ゲームボーイなどの企画及びゲームプログラム、サウンドデザインや、音源開発などに携る。ゲーム音楽の代表作としては、『メトロイド』『スーパーマリオランド』『テトリス』『ドクターマリオ』『MOTHER』(鈴木慶一との共作)『MOTHER2 ギーグの逆襲』(同)などがある。作曲を手がけた、テレビアニメ『ポケットモンスター』主題歌“めざせポケモンマスター”は180万枚というセールスを記録。クリーチャーズでは、蛍光灯や白熱電球、リモコン受信部など、日常の光を使って遊ぶコンピュータゲーム『ちっちゃいエイリアン』や『ポケパーク』シリーズ、『ポケモンレンジャー』シリーズを企画・開発。他に『ポケモンカードゲーム』シリーズのエグゼクティブプロデューサーも務める。
株式会社クリーチャーズ | Creatures Inc.
Sporadic Vacuum

DE DE MOUSE(でで まうす)
アシッドハウスからアーメンブレイク、ヒップホップからフュージョンまで、様々なキーワードをリンク、融合させ、新たな可能性を体現するエレクトロニック・シーンの異端児。ファッション、ゲーム、グラフィック等、あらゆるジャンルとのコラボレーションも積極的に行っている。2012年には新たに立ち上げたレーベル「not records」の第1弾リリース作品として、アルバム『sky was dark』を発表。
DE DE MOUSE

子どもの頃、『メトロイド』にハマっていて、その音楽が今の自分の礎になっているところがあるんです。(DE DE MOUSE)

―お二人は何度かご面識もあるそうですね。田中さんは任天堂時代に『メトロイド』や『スーパーマリオランド』『テトリス』『MOTHER』シリーズなど、名作ゲームの音楽を手がけられたことでも有名ですが、DE DEさんは世代的にもどんぴしゃだったんじゃないですか?

DE DE:もう、かなり思い入れがありますよ(笑)。子どもの頃、『メトロイド』にハマっていて、その音楽が今の自分の礎になっているところがあるんです。惑星を舞台に、地下を探索していくゲームなんですけど、ちょっとダークでインナーに向かっていく、地を這うようなドロドロした高揚感があって。そういう部分にすごく影響されました。

DE DE MOUSE
DE DE MOUSE

田中:嬉しいですね。『メトロイド』の音楽は、最初とエンディングだけ若干メロディーがあって、あとは基本的にメロディーがないっていうことを意識して作ったんですよ。地下をサバイバルしながら、ゲームをクリアしたときにメロディーが流れてくることで、初めて「あー、良かった」とカタルシスを得られるように設計したんです。

DE DE:僕、買ってからクリアするまでに4年くらいかかったんですよ(笑)。あそこを爆破しないと先に進めないとか、そんなのが山のようにあって。攻略本がないと難しかったですね。

田中:当時はけっこうダメ出しされたソフトだったと思う。難しすぎるし、バランスがよくないって。でも、DE DE君が言ってくれたような独特の世界観があったから、いまだにファンが多いんだよね。


ゲームミュージックは、ゲームの世界をより楽しんでもらうためのサービスなんです。それは徹底していましたね。(田中)

―そもそも、田中さんが任天堂に入ったきっかけはなんだったんですか?

田中:入社した当時(1980年)は、まだファミコンも出てなくて、おもちゃから出る音を作る人? みたいな募集だったんですよ。だから、音楽で入ったわけじゃなくて、エンジニアとして入りました。おもちゃの会社なら、気楽な感じかなと思って(笑)。

田中宏和
田中宏和

―学生時代からバンド活動もされていたんですよね。ゲーム音楽の仕事はミュージシャンとエンジニア、どちらの感覚で作っていたんですか?

田中:完全にエンジニアですね。ゲーム&ウォッチ(任天堂が1980年に発売した携帯型液晶ゲーム機)は1音、ファミコンは3音しか鳴らせなかったけど、その中でどうやって工夫するか。でも、音楽活動の経験も役立っていたと思います。昔のゲームはドミソとか単純なコードが多かったので、たとえばメジャー7thとかブルーノートスケールを使うだけで面白い音だと感じてもらえた。あとはプログラミングで音程を一気に下げると、ドラムみたいに「ボン!」って音になるとか。そういうテクニックは、他の人にはなかったかもしれませんね。

DE DE:そんなことやってたんですね!

田中:たとえば1音だけでも表情豊かに聴かせられるんです。「ド」の音だけでも、短くすれば「ドッ」に聴こえるし、伸ばすと「ドー」になる。そこに音量の変化を加えると、さらに聴こえ方の幅も広がってくる。そうやって、たった1音でも感情表現ができるっていうことを丁寧にやっていた気がします。

―限られた性能の中で、いかにして本物の音に近づけるかみたいな感じですか?

田中:それもありましたが、どのくらいゲームの内容に沿った音で、しかも刺激的で面白い音なのかを大事にしていました。ドラム音がどうとかじゃなくて、いかに面白いリズムの音がするかとか。プロの作曲家が電子音でいい曲を作りました、ではなくて、ゲーム中の楽しい雰囲気とか、要素と合うように音楽や効果音を作っていたんです。

―単純に「いい曲」を意識して作っていたわけではない?

田中:『ドクターマリオ』の音楽を作っているときに思ったのは、ゲームって、順調にクリアできそうな人もいるし、ゲームオーバー寸前の人もいるわけでしょ。だから、1曲の中に緊張感のある部分、楽しい部分、暗い部分を作ったんです。それなら確率的にどれか当たるから。だから、音楽を作るっていうよりは、ゲームの状況を盛り上げるために音を作っている感じです。

―そもそもの発想が違うんですね。

田中:ミュージシャンじゃないんですよ。ゲームの世界をより楽しんでもらうためのサービスなんです。それは徹底していましたね。

左から:DE DE MOUSE、田中宏和

―その後、ゲーム機も性能が進化して、PCM音源やサンプリングが使えるようになりました。特に糸井重里さんがプロデュースした『MOTHER2』では、現代音楽みたいな曲まであって、衝撃を受けた人も多かったと思います。あのへんは田中さんの中で、どういう変化だったんですか?

田中:特に変化はないんです。『MOTHER2』は広い世界が舞台だったので、共作の鈴木慶一さん(ムーンライダーズ)と一緒に、いろんなジャンルの音楽を総動員した感じでした。時代の流れも敏感に感じつつ、戦闘シーンの音楽ではテクノっぽい要素を入れてみたり。基本的にダンスものはずっと好きだったんですよ。そうは見えないと思うけど。

DE DE:そういえば『MOTHER2』の戦闘シーンの音楽で、キックの音にすごく反応したのを覚えてます。「あっ、TR-909(リズムマシンの名機)みたいな音だ!」って。

田中:あれも効率的にサンプリングするために、すごく高い音で録ってから音程を下げているんですけど、それが意外と個性になったんです。やっぱりスーパーファミコンの頃までは、データ容量が決められている中で作っていたので、いかに容量を小さく、なおかつ個性を出すかっていうのがポイントでしたね。


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