いやはや、困った。なぜに、ウェブサービスを使っただけで、こんなに不愉快な気分になってしまうのか。HotPepper Beutyで美容室を探したのだが、美容室を探すためのサイトなのに、ちょうど良い美容室が見つからない。それどころか、画面を見ているだけでイライラしてしまった。
私は14年間、恵比寿の、ある美容室に通っている。名古屋に転勤していた頃も、東京出張に合わせ、できるだけそこで切っていた。先生とは周波数が合うし、私のことをわかってくれている(髪の質から、好みから、いつどんな仕事をしているかまで)。なんせ、上手い。
しかし、最近は先生が売れっ子になり、著名人の方の出張スタイリングなどが増えたらしい。他のスタッフも上手なのだが、最近、離職が相次いだそうで。私も忙しくなり。互いに予定が合わなくなってきた。
だから、普段の違うお店で切ってもらう機会も増えてきた。ただ、明らかに通っている美容室ほど周波数が合わなかったりするし、同じ価格帯なのに、下手だったりする。とはいえ、忙しくて髪を切る機会がなかなかない中、大事な講演、メディア出演の日がやってきたりする。
昨日も、日本経済新聞社主催のセミナーだった。経産省の室長、日経産業新聞の編集長などと共演。500名を超える方がやってくる。ただ、前日までに、美容室に行く時間を作ることができなかった。それは私の責任ではある。ただ、当日の午前中は空いている。行きつけの美容室の予約はとれなかった。
友人からは、ホテルニューオータニのバーバーを紹介された。有名なお店なのだが、その日の移動を考えるとやや遠く、なんせ予算を大きく超えている。
いや、美容室を探すのは本来困難で、信頼できる人に聞く、自分でも一生懸命探し、行ってみて、失敗を繰り返しつつ決めるというのが大事だということはわかっている。
とはいえ、時間がない。
そんな時に便利なのが、HotPepper Beutyだ。そう思い、検索した。
しかし、だ。
これが、実に不便なのだ。
検索してみて欲しい。
絞り込みの項目はいっぱいあるのだが、上手く検索し、絞り込むことができない。有楽町、銀座界隈で自分にあった美容室を探すのは、こんなに大変なことなのか。
しかも、だ。検索結果を並び替えることができない。
さらに、致命的なのは、料金で絞り込むことや、並び替えることができないのだ。
もちろん、美容室の「料金」というものが難しいことはよくわかっている。「カット」と言っても、条件により値段は違う。
とはいえ「カット料金」なる表示項目はあった。ただ、これによる並び替えや検索、絞り込みができないのだ、見る限り。
そして、1回2,500円のお店ばかりが大量に表示される。いや、素晴らしいサービスを安い料金で使えるというのは良いことなのだが、とはいえ、この価格帯の美容室を使うのが怖いことは経験則でわかっている。
検索結果の画面も、爽やかな写真を使ってそうで、安っぽく、見ていてイライラしてしまった。
さらにだ。
サイトは、掲載効果をクライアントに伝えるためなのか、電話番号が最初からは表記されていない。クリックすると表示されるのだが、その際に理由を聞かれる。要するに、ウェブ経由で予約した件数以外に効果がありましたよ、というのをクライアントに伝えるためなのだろう。ただ、これが出てくるとまたイライラする。
なぜ、電話かというと、細かい条件を確認したいからなのだ。また行きつけの美容室もこのサイトに出ているのだが、先生から「掲載はしているけど、面倒くさいので、あいている時間もいつも予約はとれないようにしている」と言われていたので、電話しか信用できないと思っていたからだ。
さらに、だ。「朝10時前でも受付OK」という検索軸で選んだのに、電話をしても、全然出ない。
Googleで検索した方がはやかった気がするが、とはいえ、それも探すのが大変なわけで。そのために専門サイトを使ったのだけど、これか。
少しだけ知恵を使って、検索結果で出たお店をウェブで検索したら、系列のバーバーが銀座にあることがわかった。そこに電話をすると、やっとつながる。しかし、行ってみたら、もともと検索していたお店と同じ店舗だった。美容室とバーバー、ネイルサロンが併設されているのだ。まあ、同じお店のようなものだ。スタッフも掛け持ちのようだ。厳密には掲載されているお店ではないわけなのだが。ただ、30分以上も同サイトを使い、十分、嫌な気分になっている。そして、検索のきっかけはHotPepper Beutyだ。
ここからは、別にHotPepper Beutyの過失ではないのだが、そのお店、いまいちだった。
バーバーだというのに、シェービングをできる人が限られているそうで、午前中はカットはできるが、シェービングは諦めて欲しいと言われる始末。なんのためにバーバーにしたのだろう。一応、朝、電気カミソリで剃ってはきたのだが。ここで「気になりませんかね?」と聞いたところ、「これからサロンのスタッフ、全員に聞いてみましょうか」と言われる始末。・・・そこまでしてもらわなくても。その言い方自体が不愉快だ。
コミュニケーションも上手くいかず、掲載した写真のように、超絶ダサくなってしまった。せっかくのイケメンが台無しである。気持ちも、落ちてしまった。
プロなので、本番までに一気にテンション上げていったけどな。
もちろん、大事な仕事の日までに、美容室の調整が出来なかった私が悪い。ニューオータニのバーバーに行く時間とお金をしぶってしまったのもよくない。
しかし、ウェブサービスを使っているだけで、こんなに不愉快な気分になるというのはどういうことなんだろう。
以前、沖縄出張の時にHotPepper Beutyを使った際は快適だった。ただ、よく考えるとその時は、あまり考えずに使い、検索上位にきたものを選んだのだと思う。相場も分からなかった。
下手に知っている街だったから、相場にもこだわってしまったのだろう。
もちろん、HotPepper Beutyの問題と、美容室の問題、私の問題と切り分けなくてはならない。
ただ、ユーザーと言うのは、HotPepper Beutyの問題とみてしまうわけで。
リクルートは「まだ、ここにない、出会い。」なんてことを言って、カスタマーとクライアントの人生を踊らさせて儲ける企業なのだが、そもそも、リリースからそれなりの時間が経っているサービスを使って「出会えない」ということに、憤慨してしまった次第だ。「まだ、このサービスでは、出会えない。」が正しいのではないか。
「不の解消」こそ同社の提供価値ではなかったか。
この手の話をすると、美容業界の慣習とか、クライアントの都合とか、システムの都合とか、色々言われそうだ。ただ、まさにそういうのが、カスタマーを向いていない仕事とはいえないか。
同社のじゃらんnetは超絶使いやすいのだが(まあ、これは私がヘビーユーザーで慣れているから、というのもある)。
上場が既定路線となっている同社だけど、大丈夫かと思った次第だ。
メディアも、ビジネスパーソンもリクルートグループを持ち上げすぎだ。すべての期待は幻想である。この辺りを現在執筆中の『リクルートという幻想』では、鋭く斬りこんでいこう。
この不愉快からの卒業、HotPepper Beutyからの卒業。
まあ、私はこのサイトに合っていないということなのだろうけどね。
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