先日、映画「ベンジャミン・バトン」を観ました。二回目です。これはもう本当に!いい映画ですね。大好きです。
(以下ねたばれを気にせず感想を書きますのでご留意ください)
私は基本的に人生に悲観していて、なんで生まれてきちゃったんだろう、なんで生きてるんだろうと終始思っているような感じなんですが、この映画を観たあとは「人生ってすばらしいな」という気分になれます。年寄りの状態で生まれてどんどん若返っていくベンジャミンは、人の死をたくさん見ます。人の死は悲しいです。今まで生きていた、それぞれの歴史を背負った存在がもう二度と動かなくなる。これは大変なことです。私は特に船長の死が印象的でした。まだまだ若いのに、あんなにいい人だったのに、戦争に巻き込まれて死んでいくのはやるせないです。
ベンジャミンとデイジーの恋愛模様も素敵でした。一組のカップルなんですが、様々な年齢の組み合わせを見ることが出来て面白いなぁ~と思いました。老人と幼女、壮年男性と若い女性、成熟した大人の男女、年上の女性と若い男性、老女と男の子…。様々な愛の形態を描いていて、飽きないな、面白いなと思って観ていました。特に私は、おばあさんになったデイジーが、子供になったベンジャミンの面倒を見るシーンが印象的で、心に残っています。ベンジャミンは老人として生まれてどんどん若返り最後は子供になります。でも中身はどんどん成長して、やがて衰えていくので、外見は子供でも中身はお年寄り、つまりは認知症になってしまっているのです。めちゃくちゃな行動を取るベンジャミンを忍耐強く世話をするデイジーの姿は美しかったですし、強いなぁと思って、なんだか涙が出てきました。好きな人がそういう姿になって、それでも世話をし続けるって、壮絶だし、あんまり美化するのもよくないのかなとは思いつつも、すごいなと感動したのです。
感動したといえば、ベンジャミンが外見おじさん・中身二十歳頃のときに出会った人妻エリザベスが、年を取ってから遠泳を達成したシーンもじんと来ました。むかし達成できなくて、それから諦めて、無気力な人生を送っていた彼女は六十代になってから再び遠泳に挑戦して、それで成功して…と、映画には映っていない彼女の葛藤や人生が垣間見えるようで、私も、画面のなかのエリザベスと同じように興奮した気持ちになりました。
この映画は全体を通して、人生の悲しさ、やるせなさ、強さ、美しさをこれでもかと描いている映画です。私が年を取ったとき、どんなふうに世界を捉えているのかなぁと、そんなことを考えました。もしかしたら年を取るまえに死んでしまうのかもしれないのだけど……。いつ死ぬか分からないって怖いですが、でも分かってたらもっと怖いので、これでいいのだと思います。
人生を、思う存分に生きようと思いました。
よもちかでした。