【ニューヨーク=小川義也】米マイクロソフト(MS)は17日、2015年6月までに全社員の約14%に相当する最大1万8000人を削減する合理化計画を発表した。4月に買収を完了したノキア(フィンランド)の携帯端末部門が中心で、最大16億ドル(約1600億円)の費用を計上する。赤字が続く携帯端末事業の立て直しを急ぎ、同分野で先行する米アップルや米グーグルを追い上げる。
MSの社員数は6月5日時点で12万7104人。ノキアの携帯端末部門買収に伴い、約2万5000人増えていた。最大1万8000人の人員削減のうち、7割に相当する約1万2500人は旧ノキアの工場労働者とホワイトカラーが占める。人員削減の規模としては09年の5800人を上回り、過去最大となる。
7~9月期から15年4~6月期にかけて、合計11億~16億ドルを関連費用として計上する。内訳は退職金などの費用が7億5000万~8億ドル、資産の評価額見直しなどに伴う費用が3億5000万~8億ドル。
2月に就任したサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は17日付の社員への手紙で、組織の階層を減らし、意思決定のスピードを速めるための組織改革を実施する方針も明らかにした。
スティーブ・バルマー氏の後を継いだナデラ氏は就任以降、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の一部無償化など製品やサービスの面での新機軸を打ち出してきたが、人員削減を含む組織の大幅な見直しに踏み込むのは初めて。
ノキアから買収した携帯端末部門は、成長分野であるスマートフォン(スマホ)市場で米アップルや米グーグルのOSを搭載した韓国サムスン電子などに押されて赤字が続く。ソフトウエアに比べて利益率も低く、抜本的なテコ入れが急務となっていた。
MSの端末部門を率いるスティーブン・エロップ氏(ノキア前CEO)は17日、ハンガリー工場の閉鎖など世界的な開発・生産体制の見直しを表明。新興国で需要が伸びている低価格帯のスマホを中心に商品力を強化する方針を示した。
旧ノキアの携帯端末部門を中心とする大幅な合理化は、「デバイス(機器)とサービスの会社を目指す」というバルマー氏が打ち出した路線の軌道修正の意味合いもある。
ナデラ氏は先週、社員に宛てた手紙で「プロダクティビティー(生産性)とプラットフォームの会社を目指す」という新方針を表明。業務ソフト「オフィス」などMSが強みを持つソフトやサービスを、アップルやグーグルのOSを搭載したスマホを含め、あらゆる端末にクラウド経由で提供する戦略をより明確に打ち出した。
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