ベネッセ流出:妻子と4人「生活困っていた」…容疑者逮捕

毎日新聞 2014年07月18日 02時33分(最終更新 07月18日 03時23分)

捜査員とともに自宅を出て、警察の車両に向かう松崎正臣容疑者(左)=東京都府中市で2014年7月17日午後2時15分、西本勝撮影
捜査員とともに自宅を出て、警察の車両に向かう松崎正臣容疑者(左)=東京都府中市で2014年7月17日午後2時15分、西本勝撮影

 通信教育大手ベネッセホールディングス(岡山市)の顧客情報漏えい事件の容疑者は、2人の幼児を育てる父親だった。同社の顧客データベース(DB)から大量の情報を抜き取った容疑で逮捕されたシステムエンジニア(SE)の松崎正臣容疑者(39)は「借金があり、生活に困っていた」と供述し、生活の困窮が背景にあったことをほのめかしているという。

 ◇大家「真面目な印象」

 17日午後2時15分ごろ、松崎容疑者は東京都府中市の自宅マンションから捜査員に囲まれるようにして捜査車両に乗り込み、捜査本部が置かれた警視庁多摩中央署に向かった。

 同庁などによると、松崎容疑者は2012年1月から、都内のシステム開発会社にSEとして勤務。同年4月からベネッセのグループ企業「シンフォーム」(岡山市)の東京支社(東京都多摩市)に派遣され、DBのシステムを構築する業務を担当しながら、他のSEを指導する仕事もしていた。

 マンションの大家や住民の話では、松崎容疑者は妻と、2歳と1歳の娘2人との4人暮らしで、11年秋ごろに引っ越してきた。マンションは賃料月7万円の2DKで生活ぶりは質素だった。松崎容疑者の妻は周囲に「旦那の給料が安い」と話していたという。

 関係者によると、松崎容疑者は漏えい問題の発覚後、ベネッセ側が用意した宿泊施設で生活しながら警視庁の任意聴取に応じていた。今月10日に所属先の会社から解雇され、妻は「実家の親の具合が悪いので、今月いっぱいで引っ越したい」と大家に説明し、数日後には家族全員で菓子折りを持って「お世話になりました」とあいさつに訪れたという。

 事情を知らない大家が逮捕直前に部屋に行き、「鍵を返してください」と求めると、松崎容疑者は「今月中にきちんとします」と応じたという。

 大家の女性(78)は「真面目そうな印象で、愛犬を連れて家族で楽しそうに歩いているのをよく見かけた。お金に困っている様子はなかった」と話した。【大平明日香、宮崎隆、神保圭作】

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