ベネッセ流出:SEを逮捕…秘密複製容疑、1年で1億件

毎日新聞 2014年07月17日 21時37分(最終更新 07月18日 01時39分)

警視庁が把握している顧客情報流出のルート
警視庁が把握している顧客情報流出のルート

 通信教育大手ベネッセホールディングス(岡山市)の顧客情報漏えい事件で、警視庁生活経済課は17日、顧客データベース(DB)の管理で外部業者から派遣されていたシステムエンジニア(SE)、松崎正臣容疑者(39)=東京都府中市寿町1=を不正競争防止法違反(営業秘密の複製)容疑で逮捕した。同課によると、「ベネッセの顧客情報を持ち出したことに間違いない」と容疑を認め、今年6月までの約1年間で、重複分も含め、延べ1億件以上の情報を持ち出したと説明しているという。

 逮捕容疑は今年6月17日、DBの操作端末があるベネッセのグループ企業「シンフォーム」(岡山市)東京支社(東京都多摩市)で、業務上貸与されたパソコンに2回計約1019万件の顧客情報をダウンロードして保存。私物のスマートフォンに情報を移し、コピーを作成して不正に入手したとしている。松崎容疑者が持ち出したのは、全国で1993〜2013年に生まれた子供の名前や住所、生年月日などの情報。ベネッセが分析した結果、すべて同社のものと一致した。

 逮捕前の任意聴取に松崎容疑者は「金がほしかった。顧客情報は営業秘密で売ってはいけないと知っていた」と供述したという。昨年7月〜今年6月、月に1、2回の頻度で情報を持ち出し、インターネットで探した都内23区の名簿業者に約15回、計約250万円で売却したと説明した。

 同課によると松崎容疑者は昨年7月、貸与のパソコンにスマートフォンを接続した際、情報を移せることに気づき、不正を始めた。スマホ本体や付属のマイクロSDカードにコピーし、持ち出しを繰り返すようになったという。ベネッセにはアクセス記録を定期的にチェックする体制がなく、見抜けなかったとみられる。

 松崎容疑者は12年4月からシンフォームの東京支社に派遣され、コンピューターシステムの開発などを担当。漏えい発覚後の7月10日に派遣元の会社を解雇された。【林奈緒美】

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