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事件
【DNA型訴訟】「子の幸せ」図る柔軟な解決必要
2014.7.17 21:34
DNA型鑑定で生物学上の父子関係がないことが明らかな3件の訴訟で、父子関係の取り消しを認めないとした17日の最高裁判決には、子の福祉の観点から、法律上の保護者を早期に確保し、養育環境を安定させようとする姿勢がうかがえる。
四国のケースは、訴訟の中では2人の子の生物学上の父が誰かは特定されていない。夫からの父子関係不存在確認請求が認められれば2人は父を失う可能性もあっただけに、判決が2人の利益を守ったといえる。
一方、北海道と関西のケースでは、子は生物学上の父と同居し「パパ」「お父さん」と呼ぶなどすでに新しい家庭を築いている。今回の判決で子は生物学上と法律上の「2人の父」を持つことになり、成長の過程で子が混乱することになりはしないか、懸念も残る。また、面会交流や相続などをめぐる法的な紛争が引き起こされる可能性もある。
実際には同種事案の多くが家事調停の場で解決されており、DNA型鑑定が重要な判断材料の一つとして用いられているのが現状だ。今回のように母と夫のいずれかが一方的に鑑定を行い、決定的破綻を招くケースも少なくない。夫婦の軋轢(あつれき)で子の立場をいたずらに脅かさないためにも、鑑定では当事者の合意を要件とするなどのルール化を含めた検討も必要だ。
今回の判決が父子関係の存否について画一的な結論を示したわけではない。調停の現場では個々の家庭環境に応じ、「子の幸せ」を図るための柔軟な解決方法が求められている。(滝口亜希)
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