はる@虎狩R06 · @stellaSSL
17th Sep 2013 from TwitLonger
長毛種バニー×短毛種こてつ
*けもバディです。
見つけたので引っ張り出してみた。
短いです。発情期編もそのうち書きたい。
「いつまでそうしているつもりです?」
降ってきた柔らかい声に、うとうとしていた虎徹の睫毛がぶるりと震えた。
「う…まぶし」
「眩しくはないでしょう、僕とこの木が影になっているのに」
「あー…よく寝た」
うんと腕を伸ばし、虎徹はもぞ、と枕にしていたふさふさの尻尾を抱き締める。
網膜をちらちらと透かしていた光はどうやらバーナビーの毛が輝いていたらしい。
「眩しいの、お前の毛だったみてえだな」
「ちょっと、虎徹さん」
「今日もほんっとふわふわふかふかだな、バニーの尻尾」
顔を埋めて絹のような毛の感触を楽しむ。
機嫌のすこぶる良い虎徹に、バーナビーもやれやれと薄く笑った。
バーナビーは虎徹と同じ猫種でもいわゆる長毛種で、【ラグドール】という種類だ。
成猫になるまで他の猫より大分時間がかかるものの、長じればすこぶる美猫になる。
種の特性通り、バーナビーも明るい翠の目に黄金色の見事な毛並みで、ひとたび彼が歩けば振り返らないものがいないほどだ。
ちょっと前の発情期などそれはそれは壮観だった。
余りに周囲の猫たちがすごいので、辟易したバーナビーはさっさと虎徹の腕を掴んで自分の褥に篭ってしまった。
勿論虎徹が嫌がる筈もない。
むしろ独り占めしてずっと一緒にいられるのも、バーナビーに求めて貰えるのも何だって喜びになった。
そうして発情期が終わるまでの1週間、二匹は朝も夜もなくなあなあと尻尾を絡め、啼き合って甘い甘い時間を過ごした。
今は揃ってお仕事の合間の昼寝中だ。
二匹の仕事は、ヒーローだ。
困っている猫を助け、悪い猫を成敗する。猫とはいえちゃんとコミュニティがあるので、二人もそこに属してちゃんと給料も貰って働いている。
特に二匹はこのシュテルンビルトでは知らないもののいない、有名なコンビヒーローだ。
忙しいさなか、ようやくフルで取れた昼休み。
バーナビーのふわふわの長い尻尾を枕代わりに、虎徹は横になるなり早々に眠ってしまった。
それを動かすのも忍びなくて、バーナビーもお気に入りの本を取り出して尻尾の先で虎徹の頬をくすぐり休憩を満喫する。
「僕の尻尾、そんなに好きですか」
「うん。すげえ好き」
ごろごろ、ぐるぐると喉を鳴らして本当に嬉しそうにバーナビーに擦り寄る。
虎徹の頭を撫でてやると、手に尻尾が絡み付いてくる。
虎徹はバーナビーとは真逆の短毛種だ。種類も明確には区別できないような雑種だが、青みがかったこの黒い黒い毛の色だけは虎徹の自慢だった。
尻尾もかぎ尻尾で、バーナビーとは比較対象にもならない。それでも、バーナビーは心から虎徹のこの毛と尻尾が好きだと言ってくれる。
その証拠に尻尾を手に取って、先の少し膨らんだ所にちゅ、と形の良い唇で触れてくれた。
触れられてくすぐったくて、ぱたぱたと尻尾が左右に触れる。
「僕も、貴方の尻尾が大好きですよ」
「…尻尾だけ?」
冗談半分で問えば、見惚れるような笑顔が虎徹に向いた。
「まさか。本体を大好きだから、尻尾も大好きなんです」
「だっ!!」
恥ずかしくて一瞬で頬に血が上る。
いたたまれず尻尾に埋まって顔を隠せば、ふふ、と笑うバーナビーがやさしく尻尾で虎徹の頬をくすぐる。
くすぐったいよりむしろ気持ちが良くて、今度は尻尾がへにゃ、と力を失って根元をふりふりと揺らした。
明らかに虎徹の尻尾は本体より素直で、雄弁だ。
「尻尾、隠せてませんよ」
「!!!!!」
図星を差され尻尾の先が曲がり、ぶわっと広がる。虎徹は動揺するとよくこうなるので、皆から分かりやすいと言われている。
「うっせ!」
お返しにと腰に抱き付いてやれば、バーナビーの手がやわらかく背を撫でてくれた。
「バニー、休憩あと何分だ?」
「10分ですね」
「じゃ、このまんま甘えてていい?」
「どうぞ」
僕も甘えますから、とバーナビーが虎徹の髪と耳に顔を埋める。
「すりすりしたくとも、流石にここではできませんから。夜まで我慢して下さいね」
「お前は我慢出来んのかよぉ」
「そうですね…」
耳をかじ、と噛まれ、びびびび、と虎徹の背が震える。ぞくんと一瞬体の底に灯った火種を、頭を振って打ち消す。
けれどバーナビーはやっぱり一枚も二枚も上手だった。
「我慢出来なくなったら、攫います」
どこの王子様だよ!!!
なんて一言言ってやりたかったが、虎徹の大好きなその笑顔を見ただけで毒気が抜けてしまう。
「いいでしょう?僕の大好きな、虎徹さん」
答える代わりにがばりと跳ね起き、バーナビーの上を跨ぐ。
「…虎徹さん?」
「…お前のしたいように、全部しろっ。………俺も、…だいすき…」
これには堪らずバーナビーの毛もぶわりと膨らんだ。