米とEU、対ロシア制裁拡大-プーチン大統領が最後通告無視
7月16日(ブルームバーグ):オバマ米政権は16日、ウクライナ問題をめぐる対ロシア制裁で欧州連合(EU)と共同歩調を取り、ロシアの銀行、エネルギー企業、防衛関連企業を対象にする制裁措置を発表した。
ロシアがウクライナ国内の親ロシアの反政府勢力を支援しているとして、米国とEUはロシアの資金調達を制限することで2兆ドル(約203兆円)規模の同国経済の圧迫を図る。
米財務省のこの日の発表によれば、米制裁措置の対象企業にはロシアの石油会社最大手ロスネフチや天然ガス生産会社ノバテク 、ロシア3位の銀行ガスプロムバンク、政府系のロシア開発対外経済銀行(VEB)が含まれる。
一方、EUはロシア国内の新規公共部門プロジェクトへの欧州投資銀行(EIB)の融資を停止するほか、欧州復興開発銀行(EBRD)にも新規融資を行わないよう働き掛けると表明した。
資金調達困難にオバマ米大統領はこの日、ホワイトハウスで「これらの制裁は多大な影響を及ぼす」と述べつつも、「ロシアには最大限の影響を及ぼすが、米企業や同盟国への波及が限定されるよう対象を絞っている」と説明した。
ロシアのプーチン大統領は訪問先のブラジリアで記者会見し、米国の制裁は「挑戦的な政策」だとした上で、米企業に打撃を与えるだけで終わると発言。米ロ関係は行き詰るだろうと指摘した。
これまでの米国の対ロシア制裁措置はプーチン大統領に近い個人などに限定され、ロシア経済のセクター全体は対象にはしていなかった。
今回制裁対象とされたロシア企業は新規の資金調達で米株式市場を利用できなくなるほか、米債券市場でも償還期間90日を超える債券発行が禁止される。これにより米国での中長期の資金調達は実質的に不可能になり、借り入れコストは上昇する見通し。
キャメロン英首相は「ウクライナの現状は容認できない」と述べ、「同国の領土保全をロシアは不当にも尊重していない」と指摘した。
原題:U.S. Hits Russian Banks, Energy Firms With ExpandedSanctions(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Margaret Talev mtalev@bloomberg.net;ワシントン Indira A.R. Lakshmanan ilakshmanan@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Steven Komarow skomarow1@bloomberg.netJoe Sobczyk, Justin Blum
更新日時: 2014/07/17 14:52 JST