2010年8月

【写真】数千万件の顧客情報を一元管理する「新顧客基盤」を構築。一人ひとりの「よく生きる」を支援できる、先進のIT基盤構築に成功

通信教育の「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」を主力事業として、成長を続けるベネッセコーポレーション(以降、ベネッセ)。同社は、ベネッセとコンタクトのあった顧客の基本情報を管理するシステムを再構築して、2010年1月、「新顧客基盤」を稼働開始した。これは、数千万件の顧客情報を管理する巨大データベースであると同時に、多様な検索条件に対し高速かつ的確に個人を判定・特定する機能を備えたシステムである。ベネッセが進めているSOA(サービス指向アーキテクチャ)ベースでのシステム刷新の一大プロジェクトにおいて、先行する「新顧客基盤」が成功したことで、同社のさらなるIT基盤の変革に弾みがついた。

株式会社ベネッセコーポレーション 基盤本部 IT戦略部 部長 樋口 康弘氏 株式会社ベネッセコーポレーション 基盤本部 次世代基盤推進部 基盤開発課 世良 真吾氏

社会環境の変化に対応するためIT基盤を抜本的に再構築

【写真】

ベネッセコーポレーション 東京本部

ベネッセで、IT基盤構築のプロジェクトがスタートしたのは、2007年のことだ。
「ますます高度化が進むパーソナライズ要求や、個人情報保護法・デジタルコンテンツの増加などに対応しながら、より高度な事業運営をするには、IT基盤の抜本的な再構築が不可欠でした」と、株式会社ベネッセコーポレーション 基盤本部 IT戦略部 部長の樋口康弘氏。
IT基盤の再構築は、複数の基幹システム群を刷新する一大プロジェクトである。広範囲にわたるシステム基盤刷新は、「SOAベース」で進めることになった。

数千万件の顧客を一元管理して会員IDを発行する新顧客基盤

IT基盤構築プロジェクトの一環で、2009年に開発に取り組んだのが、「新顧客基盤」である。
新顧客基盤は、ベネッセとコンタクトのあった顧客の基本情報を管理するシステムであり、マーケティング活動を行ううえでの重要な情報基盤である。登録されている顧客数は数千万件にのぼる。
顧客情報は、Webサイトからの問い合わせ、イベントでのアンケート、ハガキの返信など、多種多様な経路から収集される。これらは、一定のルールで精査された情報ではないため、個人を特定・判断できる名寄せ(顧客検索)機能の強化が求められていた。
Webサービスの利用増加にともない、情報更新のリアルタイム化も急務であった。リアルタイム性が求められるWebサービスを活用するためには、バッチ処理による情報更新を脱却しなければならなかったのだ。

名寄せ機能を強化、個人判定処理もスピードアップ

2010年1月、新顧客基盤は稼働を開始した。
「情報精度の維持やアップには、旧システムでは効率的に対応することが困難でした」と樋口氏。
新顧客基盤では、カラムの追加や領域の再定義など、データベースの構造そのものを刷新したため、16通りの方法で、名寄せのマッチングができるようになった。
個人判定処理もスピードアップした。1件の顧客情報を処理するのにかかっていた時間が20%程短縮できたというのが現場の感覚値である。

仮想化、SOA基盤連携など、先進機能を満載

開発パートナーを選定するにあたっては、複数のベンダーに提案を求めた。
その結果、ベネッセのプロジェクトメンバーが、満場一致で選んだのがNTTデータの提案だ。
「提示した要件を最もよく理解している」というのが、最大の評価ポイントだ。技術力、開発手法、プロジェクトの管理能力、品質管理のレベルなども高く評価された。
開発工程ではIT基盤構築プロジェクト全体の連携を考えながら進めることが重要だった。
他の基幹システムの開発が同時に進むなかで、新顧客基盤が最も開発のペースが速かったために、SOA基盤との連携、仮想化ミドルウェアの最新バージョンへの対応などを検討する必要があったからだ。
また、基幹システム全体でミドルウェアを統一するなどの要件を満たすために、詳細設計完了後にも、要件対応を視野に入れた仕様の調整を重ねた。
このような連携や調整を効率的に進めていくうえで役立ったのが、NTTデータのプロジェクト管理能力である。NTTデータは、プロジェクトのスタート時点で、プロジェクト計画書を提示してマスタスケジュールや会議・工程、役割分担を定義し、プロジェクト進行中における進捗管理を進捗管理シートとリスク管理シートによって細部まで徹底した。

今後の基幹システムの標準は「リアルタイム情報更新」

新顧客基盤は、厳しいスケジュールにもかかわらず予定どおりに本番稼働させることができ、しかも、カットオーバー直後から安定稼働している。個人判定の精度は上がり、名寄せを伴うさまざまな業務の効率も向上した。新顧客基盤の管理系機能を活用することにより、業務部門が必要とする定期レポートを、手間をかけずに出力できるようにもなった。
基幹システムの中で、まず先行して新顧客基盤がSOA基盤との連携を確実に実現したことで、今後のIT基盤再構築にも弾みがついた。
「新顧客基盤を皮切りに、ベネッセの基幹システムは、バッチによるシステム間連携から、リアルタイム連携を標準とする形へと変わっていきます」と、基盤本部 次世代基盤推進部 基盤開発課の世良真吾氏は力強く語る。今後、販売管理やマーケティング系の周辺システムなどが刷新され、新顧客基盤とSOA連携することで、リアルタイム連携の効果はさらに拡大していくのである。

【図】システム概要イメージ

新顧客基盤は、顧客の基本情報を管理するシステムであり、販売管理システムやマーケティングシステムなど他の基幹システムとも連携する。
ベースとなる顧客情報は、電話、携帯電話、Webサイト、イベントでのアンケートやハガキなど、さまざまな経路で収集する。常に最新の顧客情報を一元的に保持するため、収集した顧客情報を名寄せ機能でチェックして 個人を特定したうえで、新規顧客に対してIDを発行するしくみを強化した。

お客様プロフィール

社名

株式会社ベネッセコーポレーション

本社

岡山県岡山市北区南方3丁目7番17号

設立

1955年1月28日(設立時、株式会社福武書店)

資本金

30億円

売上高

4,066億円(2010年3月期 連結業績)

従業員数

ベネッセコーポレーション3,248名(契約・嘱託含む)
ベネッセグループ15,353名(2010年4月1日現在)

事業概要

通信教育講座を中心とした教育事業と出産から子育てをサポートする生活事業を展開。教育事業の中核を担う通信教育「進研ゼミ」は、400万を超える会員を擁し、日本の通信教育業界においてトップレベルの売上を誇る。また、生活事業では、妊娠から出産・育児までをカバーする情報誌「たまごクラブ」「ひよこクラブ」等の出版など、女性やその家族の毎日の生活に役立つ商品やサービスを提供している。

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【写真】株式会社ベネッセコーポレーション様

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