(2014年7月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
「ファンボロー国際航空ショー」では、目玉となるはずだったF35の出展が見送られた〔AFPBB News〕
今週の「ファンボロー国際航空ショー」で最も長い行列ができたのは、模型航空機を見るための列だった。
法外な値段で事故を起こしやすいステルス戦闘機「F35ライトニング」がショーの目玉となるはずだったが、試験機でエンジン故障が発生した後、出展が見送られ、ロッキード・マーチンが代わりにレプリカを持ち込んだのだ。
筆者は列に並び、階段を上り、1億1300万ドルするジェット機の模型の操縦桿をいじるのを待った。新型機は、米国のほか、英国、カナダなどの空軍や海軍の航空機9機種の後継機になる。偽の電子ディスプレーを備えたコックピットからは滑走路の見事な景色が見えたが、映画「トップ・ガン」のようなわけにはいかなかった。
航空宇宙産業の期待が低下した時代
一方、ファンボロー国際航空ショーで行われた民間航空機関連の最大の発表は、新型航空機ではなく、ロールス・ロイスの新エンジンと、燃費を高めるために既存の航空機――エアバスの「A330」――に修正を加えた翼だった。
「これは形勢を一変させる。14%だ」。エアバスの顧客担当最高執行責任者(COO)のジョン・リーヒー氏は、新しい「A330Neo」で節約できる乗客1人当たりの燃料について、興奮気味にこう語った。
ビジネスライクな実用主義で負けてはならじと、ボーイングはA330と直接競合する「787」の経済的優位性を謳い上げた。「運航の経済性、柔軟性、燃費。我々の製品ライン全体の目的はそこにある」。ボーイングの民間航空機開発の責任者、スコット・ファンチャー氏は言った。「航空会社が787にこれほど胸を躍らせているのは、このためだ。これは本質的に燃料のヘッジだ」
今は航空宇宙産業の期待が低下した時代だ。筆者が前回、10年前にファンボローを訪れた時に話題になっていたのは、エアバスのA380、ボーイングの787、F35など、ライバルを出し抜くために壮大なプロジェクトでリスクを取ることだった。値段は高くなるが、新技術と画期的なイノベーションの恩恵は計り知れないものだった。
ところが実際、大きな誤算だったのが、こうしたビジョンを現実に変えるコストと複雑性だ。F35はまだ就航に至っていない。また、例えばボーイングの場合はバッテリーが発火するなど失敗が続き、A380と787は予定より就航が遅れ、予算がオーバーした。