最近の投稿作品 (57)
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あの日のモラトリアム
A
かざした鍵に怯えていた
「羽が生えるのは嫌かい?」
呆けた面を映した窓
見える景色は本物だと
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空白期間~BLANK~
疲れている顔 見るたび 何かあったのと聞くけど
無理して笑って君は 隠していた
けれども僕にはわかった 自分の弱さを見せずに
心配させずに 振る舞っていること
少し甘えてもいいから 気を遣わなくてもいい
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(無題)
待たせていたよね 僕をさ
この前会ったの いつだっけ?
「忙しい」だなんて 作り笑いで言って
ゴブサタなんでしょ?知ってるよ
「私は不器用」言ってたね
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地に降りた神と遥かな歌と
1A
一人きりの歌声に 細い弦を震わせた
寄る辺なき身の寂しさ 微塵も感じることなく
1A'
鼓動に体合わせて 移ろう時に降り立つ
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黎明
粗末な宿で 燃える灯(ひ)は 風の音に身を伏せて
積もる雪は薄い壁推し 故郷の記憶を呼び覚ます
明るい声とその日々 花咲ける野辺へ行く子よ
歌に乗せた思い出 目の前に流れる
(明るい声と過ごした日々と 花咲く野辺へ子どもは駈けて
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蜘蛛ノ巣タトゥー
A
なんでもできるつもりだった
どこへだって そう思った
"薄くて白い 宝石箱"
皆言った そう呼んだ
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首狩ノ華(くびかりのはな)
穢れのない白い肌
染め上げたのは血の色
浴びるために抜き尽くし
光のない瞳だけ blood of the sword 輝く
熱い息と冷えた心咲いた花を愛でても
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夜色の水晶
螺旋の灯火 物陰に隠して
吊るした白銀(しろがね)暗幕彩る
注いだ黒雲 濁された器に
散らした水玉 川面に飛んで波立つ
眠れ眠れ 海へ寝息立てて