ノンフィクション作家・評論家
1947年生まれ。
1983年『カリフォルニア・ストーリー』で作家デビュー。
日米関係、日米移民史を軸に著作活動を展開し、1989年に『ストロベリー・ロード』で第20回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。「日本をよい国に」という思いに駆られ、1995年新党さきがけから立候補し、選挙戦を戦う。
1998年に選挙啓発団体「選挙に行こう勢!」を結成し、その代表を務める。
2001年秋田公立美術工芸短期大学学長に就任、2007年退任。
2007年に発足したパソナ・シャドーキャビネット、官房長官に就任。
バックナンバー
【第二十八回】
日本国民の覚悟
【第二十七回】
改めて戦争を学ぶ
【第二十六回】
アベノミクスの絶大なアナウンス効果
【第二十五回】
安倍内閣に期待すること
【第二十四回】
総選挙を迎えて
【第二十三回】
小沢新党と政局
【第二十二回】
小沢氏の裁判と、政局
【第二十一回】
消費増税の是非
【第二十回】
2012年 野田政権に期待したいこと
【第十九回】
新内閣へ期待すること
【第十八回】
震災復興支援
【第十七回】
日本に笑いを作り出したい
【第十六回】
第177通常国会開幕
【第十五回】
2010年を振り返って
【第十四回】
事業仕分け第3弾の前半で出てきた、天文学的数字
【第十三回】
自民党のシャドーキャビネット発足
【第十二回】
どう見る 民主党代表戦
【第十一回】
参議院選挙を終えて
【第十回】
参議院選のゆくえ
【第九回】
どうなる鳩山内閣
【第八回】
政権交代の意味
【第七回】
混迷する麻生内閣
【第六回】
自分を含めた『私たち』なら、できる
【第五回】
2008年は「変」な年?!
【第四回】
日本の政治の行方
【第三回】
洞爺湖サミットを終えて
【第二回】
景気を良くするための一つの考え方
【第一回】
求められる「危機の芽」への認識
第177通常国会開幕
<さらに難しい課題を背負う管政権>
菅政権の明暗を左右する通常国会が始まりました。
その1週間もたたずして、小沢一郎氏が検察審査会によって強制起訴されました。どのような判決がくだるかは予測するのが難しいのですが、いずれにしても、この小沢問題を抱えながらの政権運営ですから、ねじれ国会の現状にさらに難しい課題を背負ったことになります。
さて、菅総理の所信表明は総理が就任以来、唱え続けている「最少不幸社会」をいかに創り上げていくか、そして、いまや天文学的数字となっている国の財政赤字と年々増加する一方の社会保障の費用をどのように是正するのか、そして、日本の第3の開国と位置付けるTPPへの参加。こうしたことを中心に所信表明が行われました。
これは前回の所信表明でも述べられていたわけですから、目新しいものは何もありません。
ですから、国民はどちらかといえば、無関心を装っています。
しかし、もはや新しい政策なぞあろうはずもなく、要はどの政党の誰がリーダーとなっても日本の課題は同じなわけですから、これをいかにして実行するのか、という強いリーダーシップとそれを支えるチームが必要なわけです。
<求められる強いリーダーシップとチーム力>
今の民主党政権の弱さは、衆参の議会でねじれているということだけではありません。総理の強いリーダーシップとこれを支えるチームができていないことこそ問題なのです。
政治家が関心があるのは、どこの国でも次の選挙で自分が当選することです。ですから、世論の風向きが変わると政治家たちは疑心暗鬼となり、自らが属する内閣を支えるのではなく、むしろその内閣から距離をおこうと動き出すことです。菅総理の支持率が上向かないので若い政治家たちが動揺している。その弱さが今の民主党政権からは感じられます。
たとえ、菅直人氏の党内における支持基盤が弱いにしても、菅直人氏を首相に選んだ以上、最後までこの内閣を支え、掲げた政策を実現するために努力するのが政治家の本来の姿のはずです。
始まったばかりの通常国会ですが、民主党内の中で首相のリーダーシップ不足を理由にして、あるいは次の選挙を有利に働かせるためにと党内での不協和音が拡大すれば、民主党政権はたちまちのうちに崩壊するでしょう。
これは政治権力に限りません。
企業社会においても会社が一つの方針を立てたのであれば、そしてそれに同意したのであれば、社員一丸となってこの目標に向かって努力をすべきなのです。
始まったばかりの国会ですが、6月までの長丁場。何が起こるかわかりませんが、こんな時に政治家がどのような行動をとるのか、有権者はしっかり観察する必要があります。
(2011年2月)