静岡新聞NEWS

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

病の夫と妻の合作曲「おかえり」、広がる共感 伊東

(2014/1/24 14:10)
夫婦合作の曲「おかえり」を披露する小野寺扶美子さん(右)と聴き入る優さん(左)=14日午後、伊東市の夫婦経営ペンション林間劇場ナチュラリー

 病に苦しむ夫と支える妻、2人がお互いのことを思い、一緒に作った歌「おかえり」が感動の輪を広げている。伊東市の伊豆高原でペンションを営む小野寺優さん(45)とシンガー・ソングライターの扶美子さん(42)の作品。「おかえり いつでもここがあなたの場所」。大切な人を思う素直な歌詞が共感を呼んでいる。
 曲が生まれたのは13年前。2人が都内の楽器店で働きながら一緒に暮らしていたころ。優さんは拡張型心筋症を患い、入退院を繰り返していた。ある日、心不全の発作で倒れ、救急車で運ばれた。2カ月の長期入院になった。
 扶美子さんは入院前の優さんからもらっていた紙に「おかえり」の詩を見つけた。元バンドマンの優さんは扶美子さんの曲作りのために詩を書いては渡していた。「自分が大変な状況でも私を迎えようとしている」。父親に猛反対され、ちゅうちょしていた結婚を、詩を読んだことで決意した。生涯支え合おう、と。「退院した時に聴かせてあげよう」と曲を付けた。
 結婚した2人は11年前、生演奏が聴けるペンションを開くため伊豆高原に移住した。扶美子さんがピアノの弾き語りで披露する「おかえり」は、客の間で「感動した」と話題になった。曲を聴きに何度も泊まりに来る人、結婚式で曲を流す人もいた。
 2012年には、優さんが「扶美子さんをメジャーにさせたい」と、インディーズデビューを計画。地元の飲食店や知人に協賛を募り、CD千枚を制作した。ペンションの客を中心に約900枚が売れた。
 優さんは今、新たな病と闘っている。心筋症の症状はなくなったものの、11年に精神疾患の双極性障害を発症した。ペンションの仕事を減らし、扶美子さんが音楽教室や歌手活動で家計を支える。
 「私が歌手として飛躍するという、新たな共通の生きがいができた」。扶美子さんは、優さんの精神の病気後、夫婦の絆が強まったと感じている。「世界で一番のファン」と言ってくれる優さんを思い、きょうも「おかえり」を歌う。

 

おかえり

降り始めた冷たい雨
窓のガラスは白く曇って
急ぎ足の人の中で あなたは肩を濡らしてるだろうか
同じことが嬉しくて そして悲しみはいつだって
どうしようもなく 一人ずつだけど…

もしも疲れ果てて 倒れそうな時には
その寂しさごと抱きしめてあげる
そして何度でもささやいてあげる
おかえり ここがあなたの場所
いつでも いつでも ここがあなたの場所



このほかの記事

> もっと見る

おすすめ特集・連載

おいしいものを食べたい!「グルメ特集」

週末どうする?「イベント特集」

ロード中 関連記事を取得中...

SBSテレビチャンネル

こどもみらいプロジェクト「おやこアットエス」
ページトップへ