退魔師という類い希な血筋を受け継ぐ主人公・相楽仁。しかし彼が目指したのは立派な『先生』になることだった。退魔師の家系ということをものともせず、自身の揺るぎない希望と、家を顧みない父親への反発心から、単身上京したのだった。
念願叶って、ようやく教師にはなれたものの、赴任先はなんと自分の母校とのお達しが。
父親と顔を合わせたくはなかったが、たださえ教師の枠は限られている。せっかくのチャンスを逃す訳にはいかないと、覚悟を決めて数年ぶりに故郷へ戻ることにした。
数年ぶりに再会する面々。学生の頃付き合っていた千歳、すっかり大きくなった妹の美咲。そして、上京してから家業を継げと躍起になっていた父親の秀真（ほつま）。
秀真と同居したくはなかったが、美咲・千歳の説得の末、仁の教師生活は生まれ育った自宅からスタートする。
教師としての人生を歩み出して数日後。突然発生した地震の後、通りがかった神社の側で傷ついた子狐を見つける。
この子狐との出会いから、仁の生活は思いがけない方向へと動き出すのであった……。
土地神を名乗る子狐の少女霧絵。災厄を鎮める巫女千歳。真摯に仁に尽くす妖狼綺沙羅。兄妹の関係を壊してでも想いを伝えようとする義妹美咲。
古い因習、しがらみの中で失われた心と忘れられたやすらぎを、一人の青年の成長を通して描くハートウォーミング恋愛御伽草子。
