小保方氏論文:博士号取り消さず…早大調査委
毎日新聞 2014年07月17日 17時06分(最終更新 07月17日 23時17分)
小保方氏の代理人を務める三木秀夫弁護士は17日、大阪市内で報道各社の取材に応じ、調査委員会の結果について「本人にとっても安心材料の一つになるだろう。大学は調査委の報告書を尊重して対応してほしい」と話した。小保方氏には結果をメールで伝えたという。【畠山哲郎】
◇解説…疑問残る事実認定
理系の博士論文では、外部の査読付き科学誌に掲載された論文を書き換えるだけの場合もあり、審査の「形骸化」は以前から指摘されていた。小保方氏の論文審査で主査を務めた常田早大教授は、疑惑発覚前に「非常に優れた博士論文だった」と絶賛していた。一方、副査の米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授は、疑惑発覚後の英科学誌の取材に「(論文を)読んだことがない」と述べるなど、審査の甘さは明らかだ。
調査委が認定した事実にも疑問が残る。調査委は対象となった小保方氏の論文を「草稿」だったと認めた。だが小林委員長によると、小保方氏が「完成版」と主張する論文を調査委に郵送したのは今年5月27日。調査委は問題表面化後に作られたものかどうかを検証するため、電子データによる提出を求めていたが、小保方氏側からデータが提出されたのは6月24日。ファイルの最終更新履歴は当日だった。小林委員長も「それ以上の検証はできなかった」と調査の限界を認めた。
さらに調査委は、小保方氏が「完成版」と主張する論文でも複数の不正を認めた。全5章のうち序章の約4500語が米サイトからの丸写しだったが、調査委は「博士号授与へ重要な影響を与えたとはいえない」と判断した。この規模の「盗用」を認めながら博士号を保持できるのであれば、国内外の早大への信用と権威は地に落ちるだろう。
小保方氏の博士論文に疑義が生じて以降、ネット上で同じ早大先進理工学研究科で学位を得た博士論文について盗用などの疑義が相次いで指摘されている。鎌田薫・早大総長は記者会見で否定したが、こうした事情が結論に影響したと疑われることは避けられない。【八田浩輔】