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小保方氏の論文「学位取り消しに当たらず」
7月17日 21時10分

小保方氏の論文「学位取り消しに当たらず」
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理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーが3年前に早稲田大学に提出した博士論文について、大学の調査委員会は「内容の信ぴょう性が低く、学位が授与されることは到底考えられない」としながらも、これは小保方リーダーが誤って下書き段階の論文を提出した過失によるもので、完成した論文は別にあったなどとして、博士号の学位取り消しには当たらない判断しました。

この問題は、小保方リーダーが3年前に早稲田大学に提出し、博士の学位を取得した博士論文について、文章や写真の盗用の疑いなどが指摘されていたものです。
この問題について、早稲田大学はことし3月、弁護士を委員長とする調査委員会を設置し、調査を行ってきました。
その結果、小保方リーダーが大学に提出した博士論文については「多数の問題箇所があり、内容の信ぴょう性、妥当性は著しく低い。審査体制に重大な欠陥、不備がなければ、博士論文として合格し、博士の学位が授与されることは到底考えられなかった」と認定しました。
しかし、この理由について、調査委員会は、小保方リーダーが誤って下書き段階の論文を提出した過失によるもので、完成した論文は別にあったなどとする主張を認め、博士号の学位取り消しには当たらないと判断しました。
問題となった小保方リーダーが早稲田大学に提出した博士論文は、およそ100ページのうち、冒頭の20ページがアメリカのNIH=国立衛生研究所のホームページの文章とほぼ同じだったほか、実験で得られたとしている細胞の写真が企業のホームページのものとよく似ていると指摘されていました。
小保方リーダーは調査委員会に対し、完成した博士論文は別にあるとして、ことし5月に郵送したということで、その論文では、不正が指摘されたうち、冒頭の文章はそのままでしたが、細胞の写真は削除されていたということです。

「大学側の体制に欠陥や不備あった」

小保方リーダーが早稲田大学に提出した博士論文について、大学の調査委員会は博士号の学位取り消しには当たらないとした一方、指導を直接担当した教授について「重い責任がある」と指摘しました。
そのうえで、論文を審査する過程で、担当教官の指導内容を反映させた最終的な論文を確認する手続きがないことや、審査の会議に参加する教員が十分に論文を読む時間がないことなど、大学側の体制に欠陥や不備があったと問題点を挙げ、「学位の審査に関わる者はその重さを十分に認識すべきだ」と指摘しました。
指摘について、早稲田大学の鎌田薫総長は、会見で「すでに改善策を講じているが報告を詳しく見たうえで、その改善策を再検討していきたい」と話しました。

「大学は調査の結論尊重を」

理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーの代理人を務める三木秀夫弁護士は、17日夜、大阪市内で報道各社の取材に対し「学位の取り消しという厳しい結論を回避できた。小保方さん本人に調査結果の主な内容をメールで伝えたところ、『ありがとうございます』と返信があった」と述べました。
そのうえで「早稲田大学にはこの調査の結論を尊重してもらいたい」と述べました。

「書き直し疑い調査すべき」

早稲田大学の調査委員会は、小保方リーダーが別にあると主張した完成した博士論文を電子ファイルで送るよう求めていましたが、ことし5月27日にまず郵送で送られてきたということです。
その後、先月24日になって、弁護士を通じて電子ファイルでも送られてきたということですが、メールが送信された時刻の1時間前にデータが更新された履歴が記録されていたということです。
これについて、日本分子生物学会の副理事長で、九州大学の中山敬一教授は「最近になってファイルを更新した記録が残っているなら、疑惑の指摘を受けて論文を書き直した可能性を疑って調べるべきで、不十分な調査だ」と指摘しました。
そのうえで、中山教授は「数百字ほどの盗用であっても、不正と認定されて責任を問われるのが科学界の常識で、20ページにわたって文章をそのまま使っている今回のケースで責任を問わないという判断は考えられない。何の責任も問わないのであれば、早稲田大学は教育機関としての責任を放棄していると言わざるをえない」と話しています。

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