在日米軍の出動で安倍首相が韓国を「脅迫」

 日本の安倍晋三首相が戦争など韓半島(朝鮮半島)での有事に際し、在日米軍基地から米海兵隊が出動するためには、日本政府の了解が必要だと発言し、論議を呼んでいる。今回の発言をめぐっては、日本の集団的自衛権行使に批判的な韓国に圧力を加え、間接的に警告を発したものだとする分析が聞かれる。 

 共同通信などによると、安倍首相は15日、参院予算委員会の閉会中審査で答弁で、韓半島有事について、「米海兵隊は日本から出て行くわけで、当然、事前協議の対象になる。日本が了解しなければ、韓国に救援に駆け付けることはできない」と述べた。安倍首相が言及した米海兵隊は沖縄に駐留している第3海兵遠征軍(MEF)で、韓半島有事に際し、真っ先に出動する米軍部隊の一つだ。

 米日安保条約に伴う両国の交換公文には、戦闘行動のための在日米軍基地使用について、両国が事前協議するよう定めている。東京の外交筋は「米軍が韓半島に出動することは、日本政府の同意事項ではなく協議事項だ。日本が米軍の出動に反対することは米日同盟を否定するに等しいためあり得ないことだ」と述べた。

 同筋は「安倍首相がまるで日本の了解がなければ米軍の出動が不可能かのような発言を行ったことは集団的自衛権が韓国のためのものだという点を協調するためのものだ」とも指摘した。日本政府は集団的自衛権の行使について、韓半島有事の際に米軍を効果的に支援するためのものだという論理を掲げている。

 韓国の政府・軍は安倍首相の発言について、公式な言及を控えているが、不快感を表する声が上がっている。政府高官は「韓半島有事に重要な役割を果たす在日米軍を使って韓国を『脅迫』しようとしているのではないかと疑いたくなる」と話した。

 軍関係者は「韓半島有事に在韓米軍の配置を含む国連軍司令部の後方基地としての役割については、米日間で事前了解があると認識している。有事に際しての米国の増援戦力配置は韓米相互防衛条約と作戦計画などによって計画通りに行われる」と述べた。

 安倍首相の発言は在日米軍の支援がなければ韓半島での全面戦争時に韓国がかなりの苦境に直面する現実を強調する目的もあるとみられる。韓半島有事で部隊の直接投入に使用されるか、軍需支援の役割を果たす在日米軍基地は7カ所ある。ソウルにある国連軍司令部を後方(日本)から支援することから国連軍司令部の後方基地と呼ばれる場所で、韓半島での全面戦争では軍事力の支援拠点となる。

 現在国連軍の後方基地は、日本本土に横須賀(海軍)、横田(空軍)、座間(陸軍)、佐世保(海軍)の4カ所、沖縄には嘉手納(空軍)、ホワイトビーチ(海軍)、普天間(海兵隊)の3カ所がある。このうち、米第7艦隊司令部がある横須賀基地には韓半島危機に際し、真っ先に出動する原子力空母、イージス艦、原子力潜水艦などが配備されている。

 アジア最大の空軍基地と呼ばれる嘉手納基地からは世界最強の戦闘機F22ステルスをはじめ、F15戦闘機、E3早期警戒管制機、RC135戦略偵察機などが出撃する。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者
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