通信教育大手ベネッセコーポレーションから顧客情報が流出した問題で、外部業者から派遣されているシステムエンジニア(SE)の男が、情報が流出したデータベース(DB)のシステム開発に関与していたことが17日、捜査関係者への取材で分かった。

 警視庁は男が専門知識を悪用し、DBの流出防止プログラムを解除して顧客情報を記憶媒体に複製したことを確認。名簿業者に売却する目的で、営業秘密を不正に取得した疑いが強まったとして、不正競争防止法違反(営業秘密の複製)容疑で逮捕状を請求する。

 捜査関係者によると、男はベネッセのグループ企業「シンフォーム」の東京都多摩市にある事業所に常駐。ソフト開発やDBのシステム構築に携わっていた。男にはパソコン(PC)やIDが付与されており、システムが正常に稼働するか確認する際、営業秘密として管理されていた顧客情報をダウンロードすることができたという。

 DBには流出防止プログラムが備わっており、情報をダウンロードして記憶媒体に複製しようとすると、エラー表示が出る仕組みになっていた。男はこの防止プログラムを解除していたという。

 男は昨年末から情報流出が発覚する直前の今年6月まで、DBにアクセスし、顧客情報を複数回ダウンロード。情報を記憶媒体に複製し、自宅のPCに移し替えていた。

 名簿業者にはネット上のデータ共有サービスを利用するなどして売却。売却代金は少なくとも総額数百万円に上ったという。 

[時事通信社]