安倍首相:後方支援で「武器使用」 参院予算委で認識
毎日新聞 2014年07月15日 21時41分(最終更新 07月15日 22時20分)
安倍晋三首相は15日の参院予算委員会で、国連安全保障理事会決議に基づく多国籍軍に対する自衛隊の後方支援活動について「当然、身を守るため、任務を遂行するための武器使用はある」との認識を示した。集団的自衛権の行使を容認した1日の閣議決定は、自衛隊が戦闘地域でも後方支援を行えるよう、国際協力活動の拡大を盛り込んでいる。戦闘地域での武器使用により、武装集団などとの衝突拡大や、自衛隊が多国籍軍の武力行使に巻き込まれる懸念もある。
1日の閣議決定は後方支援について「非戦闘地域」に限っていた従来の枠組みを撤廃し、「他国軍隊が現に戦闘を行っている現場」以外なら可能と明記している。その瞬間に銃撃・砲撃が起きていなければ、戦闘直前や戦闘が中断している地域でも「他国の武力行使との一体化」には当たらないと緩和した。
共産党の小池晃氏は参院予算委の集中審議で、より危険な戦闘地域での後方支援について「自衛隊は格好の攻撃対象になる」と追及。首相は「もし戦闘が行われれば、自衛隊はただちに引き揚げる」と説明。一方で、自衛隊が攻撃を受けた場合、正当防衛・緊急避難や、任務を妨害する勢力を排除するための武器使用があり得ると認めた。
首相は「(活動するのは)完全に安全な場所ではないが、自衛隊員の安全確保は当然だ。情報収集も含め、できる限りのことを行う」と強調。ただ、戦闘が起きた現場かどうかの判断については「厳格に行う必要がある。具体的な手続きを法整備で検討したい」と述べるにとどめた。
一方、中東・ホルムズ海峡での戦時の機雷掃海について、横畠裕介内閣法制局長官は「(日本から)若干遠いが、武力行使の新3要件に該当する場合もあり得る」と指摘。日本維新の会の片山虎之助氏への答弁で、新3要件に該当すれば、自衛隊の活動に地理的な制約はないとの認識を示した。
韓国が集団的自衛権の行使容認を強く批判していることに対し、首相は「日米韓3カ国の緊密な連携が必要だということも含めて、理解を求めていきたい」と述べた。一方、徴兵制の導入は許されないとする政府の憲法18条解釈について、首相は「徴兵制は憲法上、あり得ない」と明言した。【影山哲也】