TPP:「少し霧が晴れた」…首席代理が手応え 日米協議

毎日新聞 2014年07月16日 20時26分(最終更新 07月16日 21時01分)

大江博・首席交渉官代理
大江博・首席交渉官代理

 【ワシントン平地修】環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の農産品関税を巡る日米間の協議が合意に向けた進展を見せ始めた。大江博首席交渉官代理は15日までワシントンで2日間の協議を終え、「少し霧が晴れてきて、頂上が見え始めた」と記者団に語り、今後数カ月間での合意を目指す姿勢を示した。また、自民党の西川公也・TPP対策委員長は同日、米通商代表部(USTR)のフロマン代表と会談し、「互いに早期妥結に向けて行動する」ことで一致した。

 大江氏は協議の後、「中身のある建設的な協議ができた」と手応えを語った。コメや牛・豚肉など日本の農産品を巡る日米間の協議は、4月のオバマ大統領の訪日時に大幅に進展したが、その後は両国の農業団体などの反発もあって再び手詰まり状態に。大江氏が5月末にワシントンで協議に臨んだ際には「絶望的になる瞬間もあった」という。

 しかし、前回(6月30日〜7月1日)の東京での協議に続き、今回も双方の理解が深まった。具体的には、牛・豚肉などで輸入が急増した場合に関税を引き上げる緊急輸入制限(セーフガード)を巡り、両国がともに解決策を見いだす努力を進めることで一致。次回の協議は8月4〜5日に再びワシントンで開催予定だが、大江氏は「(次回での合意は)非常に難しい」としながらも、「いい感じで進んでいるので、進展はできる」との期待感を示した。

 一方、自民党の西川TPP対策委員長はフロマン代表との会談で、現行の日本の関税制度の下で相当量の米国産のコメや小麦が輸入されていることを主張。これらの関税がゼロになれば、タイやベトナム産のコメなどより安価な農産品の輸入増加によって、米国産が不利になる可能性を指摘したという。そのうえで西川氏は、「日本はTPP交渉のルールの分野では一番自由化が進んでおり、米国もだんだん分かってきてくれている」と、米国がより柔軟な姿勢を示すことへの期待を語った。ただ、15日の西川氏と米下院議員との会談では「すべての関税撤廃」を求められるなど、米議会になお強硬論が強いことも浮き彫りになった。

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